水の怖さをARで疑似体験 長野県が貸し出し開始
長野県は、AR(拡張現実)技術を活用して、浸水時の歩きづらさや避難の難しさなどを疑似体験できるゴーグルやタブレット端末の貸し出しを始めた。小中学校の防災教育や地域の防災訓練などで活用し、豪雨などにより水害が予想される際の早期避難の重要性を再認識してもらう。 AR疑似体験のアプリは、神奈川歯科大学の板宮朋基教授が開発した。県はゴーグル9台とタブレット端末3台を購入した。 疑似体験は水深を10センチ刻みで設定できる。流速や水の濁りの状態を変えられるほか、流木や漂流物なども設定でき、浸水して足元が見えにくい状態での歩きづらさを体験できる。タブレット端末をモニター画面につなげば、大人数で同時に浸水状態を確認でき、防災教育などでの活用も期待される。 水深を任意に設定するだけでなく、国土交通省が堤防決壊時の浸水シミュレーションなどをまとめた「浸水ナビ」を活用して、自分の居る場所が最大でどの程度の浸水被害の可能性があるのかを知ることもできる。県危機管理防災課は「側溝や障害物などが水没して見えないと危険が生じる。早めの避難を心掛けるようにしてほしい」と話している。 県は併せて、火災で煙が充満している中を避難する体験や消火体験ができるAR火災体験のゴーグル2台も購入しており、消防本部や市町村などに貸し出す。
市民タイムス