65歳から「月7万円」の年金を受け取る予定です。これから「85歳」まで生きる場合、年金のみで生活は厳しいですか? 現役時代にいくら貯めておく必要があるでしょうか?
定年退職を迎える時期が近づき、自分自身が老後にもらえる年金額が明確となると「このまま老後を迎えても大丈夫なのか」と不安を抱える人もいるかもしれません。 人生100年時代といった言葉もあるように、いまは「長生きすることがリスクとなる時代」といっても過言ではありません。仮に85歳まで生きる場合、65歳から20年間どのように生活をするのかを具体的に設計する必要があります。 本記事では、65歳で定年を迎えて月7万円の年金を受け取る場合、85歳まで年金収入のみで生活を維持しようとするのなら現役時代にいくら貯金する必要があるのかを解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
65歳から85歳まで必要な生活費は5000万円?
今回は、定年後は自分自身以外に配偶者や子どもなどの家族と生計を一にすることなく一人暮らしをし続けるものとします。 たとえ単身世帯で贅沢をしなかったとしても、毎月一定の生活費がかかります。 総務省統計局が公表している2022年の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の実支出は15万5495円です。老後は現役時代ほどお金がかからないと思われる人もいるかもしれませんが、最低でも月15万円以上の支出が発生することが多いことが分かります。 総務省統計局が公表しているデータはあくまで最低限必要と思われる支出額であり、実際はさらに多くの出費が発生する可能性があります。というのも、例えば、突然病気やけがをして通院したり、親の介護などで経済的負担が発生したりするケースも考えられるからです。 特に問題なく使えていた冷蔵庫や洗濯機などの生活必需品といえる家電製品が故障して、買い替えを迫られることもあります。 これらを総合的に考慮すると月20万円以上の支出が発生しても不思議ではありません。仮に65歳で定年を迎えてから85歳まで平均して毎月20万円の支出が発生する場合、年間で240万円、「20年間で4800万円」が必要です。
年金のみで生活する場合はいくら貯金する必要がある?
本記事のケースでは、「定年退職後は月7万円の年金」を受け取る予定ですが、月20万円の支出が発生する場合は、当然ながら収支は大幅な赤字となります。毎月13万円の赤字となるため、収入が年金のみの場合は貯金から補填しなければなりません。 65歳から85歳まで一定の生活費がかかる場合は、月13万円・年間156万円の赤字となり、「20年間で3120万円不足」するため、65歳で定年を迎えるまでに3000万円以上の資金を貯めておく必要があることが分かります。 ただし、これらはあくまで単純計算の結果であり、実際の数字とは異なることもあります。また見た目の金額をクリアできていたとしても、物価の上昇などで資産価値が目減りすることもある点にも注意しなければなりません。 厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査によると「令和5年11月分結果確報」では実質賃金がマイナス3%(速報値)となっており、20ヶ月連続でマイナスとなりました。物価高に賃金アップが追いついていない状況が続いている状況から分かるとおり、貯金残高が多くても実質的な資産価値まで保障されるわけではありません。