【文蹴両道】大宮高校 安元利充監督「どの生徒も、始めたことは最後までやり切れる」
――腕に覚えのある逸材も何人か入部してくるのですか? 昔は浅黒くて筋肉質のスポーツマンタイプの選手もいましたが、最近は見かけなくなりましたね。クラブチームでやっていた選手は一人で、中体連出身者ばかりです。50メートル走で7秒かかるとか、高校からサッカーを始めたとか、テクニカルな選手も見当たりませんが、みんな楽しく最後まで一生懸命やり抜いてくれます。 ――自分たちで考える力がありますから、「こんなことをやりたい」など選手からの要望も盛んなのでは? アプローチしてくることもたまにはありますが、基本的には自分たちで考えたことは自由にやりなさいと日頃から伝えているので、選手だけで試合に向けた話し合いもしますし、キャプテンが「明日の試合はこんなふうに戦おう」とグループLINEなどを使って考え方を共有しています。何も言わなくても選手同士で考えながらやっており、それに対して私から指示する必要もありませんのでそこは任せています。 ――進学校で部活動に全力投球できる生徒というのは、勉強も私生活もしっかりしていますね。 それは強く感じます。私はここで4校目ですが、これだけ部活動を辞めないというか貫き通す学校は初めてです。うちの生徒は体育祭や文化祭といった行事をはじめ、何にでも盛り上がるんです。遊ぶ時は遊ぶとか、どこに全力を注いだらいいのかよく理解しています。だからどの生徒も、始めたことは最後までやり切れるのでしょうね。 ――サッカー部の代表的な1週間の流れはどんな感じですか? 週に2日は休養日を設けていますから、日曜日に試合をすると月曜と木曜がオフになります。リーグ戦の最中や県予選を控えた時期ですと、戦術練習に時間を割き、試合で浮き彫りになった課題を徹底的に修正して次のゲームに臨みます。それ以外の時期はシーズンでテーマを掲げて取り組んでいます。1日の練習時間は概ね2時間半です。 ――合同練習の後に自主トレもするのですか? いや、基本的にはやりません。やらせたい気持ちもありますが、生徒たちは県内各地から通っているので帰宅時間が遅くなってしまう選手も出てきます。帰ってからもやることがたくさんありますし、午後7時には校内から出るように指導しています。ただ稀ではありますが、昼間から練習をスタートできた時などは自主練習するケースも見られます。 (文・写真=河野正)