『厨房のありす』“初めての恋”にはしゃぐ門脇麦の姿が愛おしい 倖生と心護の“新事実”も
寡黙で誠実で愛想がないから人に誤解されやすいけど、実は誰より誠実。自分のことよりも人の気持ちばかり考えていて、人一倍傷つきやすい。そんなところが好きだった、と心護(大森南朋)が語るその人の特徴は誰かと共通していた。 【写真】手を繋ぎ見つめ合う心護(大森南朋)と晃生(竹財輝之助) 『厨房のありす』(日本テレビ系)第5話で、ありす(門脇麦)が初めて知った心護の元恋人の存在。別れてからも手紙で心護と頻繁にやりとりしていたと見られる“晃生”(竹財輝之助)は、倖生(永瀬廉)の父親だった。 倖生の協力もあり、本当のお母さんに愛されていたことに気づいたありす。そのことをきっかけに、これまでは「自分にそんな資格はない」と諦めていた恋愛にも前向きになる。だけど、ありすには好きという感情がどういうものなのかいまいちわからない。 “恋愛の好き”と、“それ以外の好き”は何が違うのか。改めて言われてみると、うまく説明できないという人が多いのではないだろうか。和紗(前田敦子)の夫・金之助(大東駿介)の「居ても立っても居られなくて、とりあえず走り込みする」という話はあまりに特殊で思わず笑ってしまったが、案外そういうものなのかもしれない。誰かを好きになった時の反応は人によって様々。だからこそ、恋愛は難しい。「ありすのお勝手」の常連客である明里(金澤美穂)も思いを寄せる会社の先輩・圭介(渡辺大知)の気持ちがわからず、悩んでいた。 そんな明里のために、ありすは倖生と同棲を検討するカップルを装って圭介に物件探しを依頼する。夫婦でお店にやってきた蒔子(木村多江)と誠士(萩原聖人)の体験談をもとに、圭介を嫉妬させ、明里への思いを自覚させる作戦に出るもことごとく失敗。逆に圭介の態度がよそよそしくなったことで明里は諦めモードに。ありすもそのことで再び「私にはきっと一生わからない」と自己否定感を強める。
ありす(門脇麦)「私は倖生さんを好きなんですね!」
だが、圭介のそのよそよそしい態度こそ、明里を好きになった証拠だった。圭介は、作戦ではなく偶然に階段から落ちそうになった明里を倖生が抱きかかえたところを見た時からモヤモヤが止まらず、自分の気持ちに気づいたという。同じくその光景にモヤっとしたありす。また、金之助の話には全くピンとこなかった彼女だが、「美味しい料理を食べたら明里ちゃんと一緒に食べたくなるし、綺麗な景色を見たら明里ちゃんと一緒に見たいなと思う」という圭介の言葉には身に覚えがあった。何でも共有したくなる相手。それは、ありすにとって倖生だった。 「私は倖生さんを好きなんですね!」 恋愛としての“好き”が何なのかを知れたこと、その“好き”という感情を自分が倖生に抱いていることに気づけたこと。その足で和紗のもとに駆けつけ、わざわざ報告したくなるくらい、初めての恋にはしゃぐありすの姿が愛おしい。こうして毎話、門脇麦の演技を通して、倖生と出会ってから、いろんな初めてを経験するありすの素直な反応に触れることによって、私たちはこの世界の色鮮やかさを知ることができる。 一方で、お店でありすと倖生の仲の良さを目の当たりにした蒔子は少し不安げな表情を浮かべていた。それは、倖生が心護の元恋人である晃生の息子であると知っていたから。もし倖生が何らかの目的を持って2人に近づいたとするなら、いつかありすが傷つくことになるんじゃないかと思い、心配なのだろう。だが、優作(前原瑞樹)の前で倖生が名前を伏せて語ったありすへの思いに嘘があるとは思えなかった。「俺のせいでその子の人生壊しちゃったら、俺一生後悔するな」と視線を落とす倖生。その一挙一動にありすを大事に思う気持ちが宿る。今回、明らかとなった事実がありすと倖生の関係を阻むとしたら、それは悲しいことだ。願わくば、ありすの無邪気な言動に倖生が良い意味で振り回される光景をずっと見ていたい。
苫とり子