高校の登山部員、15年で1・6倍…アウトドアに親しみ・災害多発で「自活」意識も
少子化などの影響で高校の運動部に入部する生徒の数が減少する中、登山部の部員数は全国的に増えている。この15年で全体の部員数が1割以上減った一方、登山部員は1・6倍ほどに増えた。背景には、アウトドアに親しんだ世代であることに加え、災害の多発による自活意識の高まりや、学業、趣味との両立を重視する価値観の広がりなどの要因があると関係者はみている。(今泉遼) 【グラフ】全国高体連加盟の部活動と登山部の部員数の推移
「この大きな岩は目印になりそうやね」「体が冷えるから早めに出発しようか」――。福岡、佐賀県境にある井原山(標高982メートル)の福岡県糸島市側の山中で9月、創部から70年以上の歴史がある福岡県立修猷館高校山岳部の部員ら約25人が、紙の地図と登山用地図アプリ「YAMAP(ヤマップ)」の地図を見比べたり、休憩したりしながら登山道を進んでいた。
部員らは前日、登山口付近の山の家でテント泊し、この日の午前6時頃に出発。井原山の山頂に登った後、雷山(同955メートル)まで縦走し、午後1時頃に山の家まで下山した。今月19、20日に開かれた同県高校新人登山大会中部ブロック予選会と同じルートを通っており、下見を兼ねての練習だった。
「自然が好き」
競技としての登山は4人1組のチームで挑み、▽体力(スタミナの配分、リズム、バランス、チーム内の適度な間隔など)▽テントの設営・撤収(適正な張り方など)▽炊事(コンロの正しい使い方、衛生的な調理など)▽読図技術(コース上の位置を地形図上で特定できるかなど)――などの項目で、100点満点からの減点方式で競われる。
同部は同予選会で男女ともに1位となった。11月2、3日の県大会に出場する。同部は今年の全国高校総体(インターハイ)で女子団体4位、昨年は男子団体で準優勝を収めるなど強豪として知られる。
「アウトドアや自然が好きで入部した。きつい時、上を見ると木々の間から光が差し込んでいるのがきれいで頑張れる」。登山の魅力をこう語るのは、中学ではバスケットボールをしていた2年の生徒(16)。2年の部長(17)は「仲間と一緒に登る過程が楽しい」と話す。