ドライブの楽しい季節…夫婦で家族でひとりで気ままに
猛暑が過ぎ、紅葉の季節が近づいてきました。自然を楽しみに自動車で出かける人も多いと思います。読売新聞朝刊の投書欄「気流」にはドライブに関する投書が多く寄せられてきました。記者の心に刺さった投書を紹介する「ササる投書」、今回のテーマは「ドライブ」です。(※投稿者の年齢や職業などは掲載当時。紙面では実名で掲載)
虎の脱走騒動、不安な道中
結婚前、夫とよくドライブした。房総半島の先端付近にある夫の実家に何度も出掛けた。当時の道路事情はあまり良くなく、山道を走ることも多かった。
43年前の夏、房総半島の山にある寺で飼われていた虎が脱走し、27日間にわたって山林を逃走するという騒動があった。虎が逃げた辺りは夫の実家に向かうルートだった。山中を走行していると、ほえている虎の顔が頭に浮かび、遭遇して襲ってきたらどうしようと不安でたまらなかった。
虎が射殺され、騒動が決着し、ホッと胸をなで下ろしたのを覚えている。恐ろしいドライブの記憶だ。(65歳・公務員=千葉県、2022年7月24日掲載)
米国で運転挑戦、最後まで慣れず
約10年前、夫の米国転勤に同行するため、運転免許を取得した。米国は車社会なので、道路や駐車場は広々とし運転しやすそうに見えた。「趣味はドライブ」と言ってみたいという昔からの憧れはかなうと思われた。だが、スーパーや学校に行く際は緊張した。人一倍心配性で、高速道路を利用した日は疲れ果てた。6年半過ごしたが最後まで運転に慣れることはなかった。
夫は転勤を機にペーパードライバーから運転好きになった。今の私の趣味は夫の運転でドライブすることだ
(44歳・パート=埼玉県、2022年7月24日掲載)
夫の形見の車、娘が受け継ぐ
夫がこの世を去り、残った車をどうしようかと迷っていた。乗り尽くしたので、買い替えようとしたが、「お父さんの形見だから乗れるだけ乗ってみる」と娘が言い出した。
娘が免許取り立ての頃、夫は娘の運転練習に付き合って帰るなり、もう娘とは乗らないと言い出した。娘もよほど怖い思いをしたのか、それ以来、ペーパードライバーになっていた。