大阪万博でジビエ発信 野生鳥獣肉の衛生管理紹介 振興協会
ジビエの普及拡大を目指す日本ジビエ振興協会(本部・長野県茅野市北山、藤木徳彦代表理事)は、来年4月に大阪・夢洲で開幕する大阪・関西万博のテーマウィークで6月5~16日の12日間、食と暮らしの未来について考える展示の一部を担う。農村の現状やジビエ利用に加え、野生鳥獣肉の衛生管理と品質に関する農水省の認証制度などを紹介し、食の安心安全の在り方を発信する方針だ。 協会によると、出展内容の詳細は現在検討中だが、ジビエの魅力と鳥獣被害対策について理解促進を図る動画や展示を行う予定。信州ジビエや鹿肉を食してきた諏訪地域の歴史も盛り込みたい考えだ。期間中はEXPOメッセで同テーマの展示面積約2000平方メートルのうち、43平方メートルほどがジビエコーナーになる。 テーマウィークは前回のドバイ万博から始まったプログラムで、地球的課題をテーマに公式参加者、国や自治体、出展企業などが集まる。協会が出展する12日間は「食と暮らしの未来」をテーマにフードロス、食育、食文化、スマート農林水産業、サステナブルファッションなどの分野で展示や対話イベントが行われる。 農水省は2018年に安全安心なジビエの流通促進を図るため、国産ジビエ認証制度を制定した。厚労省の衛生管理に関する指針の順守、製品に関する捕獲から出荷までの一連の工程の履歴が確認できる体制などが認証取得のポイント。協会は国産ジビエ認証制度の認証機関に登録されている。万博では認証を取得した食肉処理施設で解体された野生鳥獣を使った商品などの試食も検討されている。 ジビエ料理は欧州で古くから高貴な料理として人びとに認識されてきた歴史があるが、藤木代表理事(53)によると、日本のジビエの衛生管理、品質管理の体制は世界的にも高い水準にあるという。出展について「野生鳥獣肉を食肉として流通させる体制が整っていなかった時代から約20年を経て日本のジビエが和牛や日本酒などと同等に扱われ、市民権を得るまでになった。鳥獣被害対策は世界的な課題でもある。衛生的に処理されたジビエがおいしく消費される日本の取り組みを広く伝える機会にしたい」と意気込んでいる。