秋の味覚・サンマが不漁、原因は10~20年で繰り返す自然の周期
昨年、サンマの不漁が話題となりましたが、今年もかんばしくないようです。サンマの資源管理などの研究にたずさわる水産研究・教育機構 東北区水産研究所の巣山哲主任研究員によると、このままいけば、今年の漁獲量は40年ぶりの歴史的な不漁だった昨年と同程度か、さらに下回る可能性すらあるそうです。秋の味覚・サンマはなぜ獲れなくなったのでしょうか。
ことし10月31日時点のサンマ漁獲量は、前年比1.0%増の8万8364トン。昨年の同時期よりも若干上回っていますが、岩手県の東方、排他的経済水域の線上付近にあった漁場では、11月に入ってからサンマが獲れなくなり、今は岩手県近海で漁が続いているものの漁獲量は落ちてきているそうです。この先、漁獲量が大きく増える見込みはなく、昨年に続く不漁が確実視されています。 巣山主任研究員によると、サンマの漁獲量は、だいたい10~20年周期で増減しているのだそうです。「以前から、周期的に増えたり減ったりしていました。ですから、今は減る時期にきているのかな、と感じます」と説明します。 たとえば、1999(平成11)年における日本のサンマ漁獲量は13万4944トンでしたが、2008(平成20)年は34万3225トンと、おおむねその周期通りに増えたり減ったりしています。サンマだけではなく、マイワシやカタクチイワシなども同じく周期的な増減があるといいます。 毎年8月以降、サンマは西へ、つまり日本の方へとやってきます。不漁の年も、太平洋の東側からサンマは西へ向かいますが、移動距離が遠く、日本の近海に到来するのが遅くなるため、漁期の当初はあまり獲れません。しかも、沿岸の近くにまではやってこない傾向にあり、漁場は遠くなります。
ただ、具体的に、どのようなメカニズムで増えたり減ったりするかは、まだよくわかっていないそうです。海面の水温や気温の変化など、さまざまな要素が関わっていると考えられています。サンマは太平洋全体に分布していますが、不漁の時は、太平洋の全体で減少しているのではなく、西側の方で減少していることが最近わかってきたそうです。 来年以降はどうなるのでしょうか。巣山主任研究員は、「サンマの寿命は2年。今年の資源量調査で、サンマの0歳魚は太平洋の東側に多くいたのに対し、西側は少なかった。サンマが減ってからはそうした状況が続いているので、来年一気にサンマが増えるとは考えにくい」と分析します。サンマが豊漁に戻るのは、少なくとも数年先になりそうです。 (取材・文:具志堅浩二)