「珍しくない病気に」子どもたちの摂食障害 思春期の中学3年女子は1000人中7.6人 10年前から3倍以上増加
小学校、中学校、高校…男女共に増加傾向 コロナ禍のストレス原因か
新型コロナウイルスが流行した3年前に、長野県内の中学3年女子の千人当たりに7・6人が摂食障害だった―。こうした調査結果を、長野県立大(長野市)、長野赤十字病院(同)のグループがまとめた。小中学校、高校の養護教諭を対象に約10年ぶりに調査を実施したところ、摂食障害や、その疑いのある子どもが男女共に多くの学年で増加傾向を示した。コロナによる一斉休校や外出自粛、学校活動の制限が心身に影響し、極端な食行動で苦しむ子が増えているとみている。 (中村真希子) 【グラフ】摂食障害の調査結果 小学5年生から高校3年生
摂食障害の増加、中学生年代で顕著に
調査は2021年10~12月、長野県立大(長野市)の杉山英子教授(生化学)の研究室と、長野赤十字病院(同)の横山伸・精神科部長が共同で実施。県立大健康発達学部に昨年春まで在籍した鴨志田涼花さん(23)、下形真央さん(23)が分析を担当した。県内の全小中学校(約560校)と全高校(約100校)の養護教諭に対して、県教委を通じてウェブで調査用紙を送り、小学5年生から高校3年生までの状況を尋ねた。回収率は4割程度で、回答があった学校に在籍する児童生徒(各学年男女約4000人ずつ)の状況が分かった。
神経性やせ症や神経性過食症などの摂食障害と診断 、あるいは受診中の児童生徒と、受診はしていないが摂食障害が疑われる児童生徒を合わせると、女子では中学3年が30人(0・76%)と最も多く、高校1年が12人(0・33%)、高2が10人(0・27%)、中2が9人(0・23%)など。男子は中2が5人(0・12%)だった。
中学3年女子は前回調査から3倍超に
前回調査は11~12年度、厚生労働省研究班による全国調査の一環として行った。前回は郵送で、高校は全校でなく抽出方式だったなどの違いがあるため、前回を参考値として割合を比較すると、多くの学年で上昇していることが分かった。特に中3女子は前回の0・24%から3倍超に。比較的少ない男子でも中2は前回の0・02%から増えた。摂食障害の発症の低年齢化が指摘される中、コロナ禍で一斉休校や外出自粛、学校活動の制限を経験した中学生の年代で顕著に表れた。