タペストリーのカプリ買収に米連邦取引委員会がストップ 年商120億ドルの巨大ファッション企業の誕生に暗雲
「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)が「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」擁するカプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)を85億ドル(約1兆3000億円)で買収する大型案件について、米連邦取引委員会(FTC)は5対0の満場一致で訴状を発行し、本取引を停止する仮処分を求めることを決定した。 【画像】タペストリーのカプリ買収に米連邦取引委員会がストップ 年商120億ドルの巨大ファッション企業の誕生に暗雲
タペストリーとカプリは2023年8月、本買収について合意している。買収が完了すれば年商120億ドル(約1兆8400億円)の巨大ファッションコングロマリットが誕生すると目されているが、FTCは「この取引が許可されれば、タペストリーとカプリが擁するブランド間の直接的な競争がなくなる。タペストリーが“アクセシブル ラグジュアリー(Accessible luxury)”と呼ぶ、高品質のレザーと職人技を手ごろな価格で提供するハンドバッグ市場を独占することになる」と声明を発表した。
ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)=タペストリー最高経営責任者(CEO)は、上海から米「WWD」の取材に応じ、本件を前進させるために闘う用意があると話した。「われわれは、この取引のメリットと利点に自信を持っており、法廷で主張するのを楽しみにしている。重要なことは、今年中に取引を完了させるために迅速に進めることだ」とコメントした。
投資家は23年11月にFTCが2度目の情報開示請求を行った後、この取引に異議を唱えるかどうかについて注視していた。専門家によると、政府がいわゆる“アクセシブル ラグジュアリー”ハンドバッグ市場のような、限定的で裁量権の大きい分野について取引を阻止するために独占禁止規制に踏み込むのは異例だという。