人生には自分なりの「小さな答え」があればいい。僧侶が教える「悟り」の見つけ方
年始に立てた目標に手をつけることもなく、あっと言う間にもう2月。「ダメだなぁ」と自己嫌悪にならないでください。人生には確かな結果よりももっと大切な「小さな答え」があればいいのだそうです。 そう諭してくれるのは、曹洞宗徳雄山建功寺住職の枡野俊明さん。著書『小さな悟り 人生には「小さな答え」があればいい』(三笠書房)より、余計な考え・迷い・情報を取り除いて、心を晴れやかにするヒントを紹介します。
「雨が降ってきたから傘をさす」ぐらいの精神でいい
「悟り」と聞くと、ちょっと難しいイメージを抱いてしまいます。しかし枡野さんがすすめる「小さな悟り」とは、あれこれと考え込むことなく、自然の流れのままに行動することなのだとか。 たとえば、「雨が降ってきたから傘をさす」「のどがかわいたから水を飲む」「汗をかいたからシャワーを浴びる」「疲れたからひと休みする」、そのくらいシンプルに、日々の思考と行動を捉えることです。 (『小さな悟り 人生には「小さな答え」があればいい』3ページ) 何事も「深く、ややこしく考えるから、動けなくなる」と枡野さん。 何事にも正面から向きあい、熟考して対処することが良しとされる世の中で、枡野さんの言葉は現代を生きるビジネスパーソンの気持ちを軽やかにするアドバイスと言えるのではないでしょうか。
「ないものねだり」よりも「あるもの磨き」の精神で
本書には「人生に迷ったら」「人間関係に悩んだら」「仕事で迷ったら」「老いを感じたら」「将来が不安なら」という5つの章で、それぞれの「小さな悟り」を開くヒントを紹介しています。 ここでは1章の「人生に迷ったら」より、枡野さんがすすめる3つの考え方をピックアップしました。 1. 「無常」を深く受け入れる 「諸行無常」という言葉、中高生のときに平家物語でふれたことはあるものの、丸暗記を優先して意味については「よくわかっていない」という人が多いのでは? 枡野さんによれば、諸行無常とは「森羅万象、この世で起こることは一切が、片時も留まってはいない」という仏教の根本思想の1つとのこと。 ところが人間というのは、自分に降りかかる変化を嫌って、「無常」に逆らおうとします。どんなにがんばって無理をしても、無常を打ち負かすことはできないのに。 (『小さな悟り 人生には「小さな答え」があればいい』17ページ) そこで枡野さんがすすめるのは、折にふれて「無常、無常、諸行無常。すべてのことは常ならず」とつぶやいてみること。 もしあなたがいま、好ましくない状況にあっても、「やがてよくなるさ」と思えてきます。逆にいまが絶好調であれば、「同じ状況が長く続くとは限らない。有頂天になってはいけない」と気持ちが引き締まります。 (『小さな悟り 人生には「小さな答え」があればいい』17ページ) 2. 自分にないものを探さない 年始の目標に「苦手なことを克服する」と掲げた人も少なくないはず。立派な志のようですが、枡野さんの言葉を借りれば「苦手なものは、いくらがんばっても上達しない」。 そこをすっぱり見切れないのは、「すべてにおいてハイレベルな能力を持っていないと気がすまない」からでしょう。その能力の「ある」人と比較して、自分には「ない」ことに劣等感や恥ずかしさを覚えるのだと思います。 (『小さな悟り 人生には「小さな答え」があればいい』45ページ) 大切なのは、「ないものねだり」ではなく「あるもの磨き」の精神。そのほうがずっと楽しく、結果も出しやすいと枡野さんはつづっています。 3. 人のせいにしない 「因果応報」とは「身の回りで起こるすべてのことには原因がある。その原因をつくっているのは自分自身だ」という教え。 良くないことが起きると、その原因を外に求めたくなるものですが「そうしている限り、どんなにあがいても事態は好転しない」と枡野さん。 誰にでも平等にチャンスは与えられます。それに気づき、つかむことができるのは努力を重ねて準備をしている人だけ。このことは、枡野さんにしてはめずらしく「心してください」と強めの口調で説かれています。 「人生はすべて因果応報」と心で唱え、自分を顧みるのも悪くありません。 2月から年度末の3月、そして4月の期首と、忙しくなる一方のビジネスパーソンの皆さん。枡野さんの「人生には『小さな答え』があればいい」というメッセージを胸に、自分なりの処世術をまっとうしたいものですね。 >>Kindle unlimited、99円で2カ月読み放題キャンペーン中! Source: 三笠書房
ライフハッカー・ジャパン編集部