「デブ」の言葉が拒食症の引き金に 高校生で精神病棟に入院した蒼川愛が今振り返る当時の苦悩と「自分を認める」大切さ
■過酷な入院生活「個室トイレはガムテープで塞がれ」 ── 入院中はどのような治療をしたのでしょうか? 蒼川さん:私が入院したのは精神病棟でした。行動制限療法という治療で、1日に摂取するカロリーが決められています。体重が増えるとできることがいろいろと増えるんです。最終的に、体重が10kg増えたら退院できることになっていました。 ただ、入院生活は過酷でした。個室の部屋のトイレは吐かないようにガムテープで塞がれていました。そのビジュアルがなんとも言えず衝撃的でした。トイレに行く場合は、看護師さんに付き添ってもらって共有トイレを使用する決まりになっていました。その間も吐かないように見張られているんです。
外出はもちろん禁止だし、お風呂もなかなか入る許可が出ず…。あまりの苦行に一刻も早く退院したいと思うようになって、「私は食べられるようになったから見て!」と、とにかくアピールしました。その甲斐があって、42kgまで体重を増やし2週間で退院させてもらいました。 ── それほどつらい入院生活だったんですね。 蒼川さん:もう絶対に入院したくないと、退院後は一生懸命食べるようになりました。あとは入院生活で「これくらいの量なら食べても太らない」など、適正量がわかるようになったのもよかったです。爆食さえしなければ大丈夫だろうと、それからは安心して食べられるようになりました。
どうしてもそういう拒食したくなる感情に襲われたときは、勉強して気持ちをごまかして、うまく気持ちをコントロールできるようになったと思います。 ── その後はもう拒食症に悩まされることはなくなりましたか? 蒼川さん:そうですね。でも、実は大学に入ってから、今度は拒食症ではなく過食症に悩まされた時期がありました。環境の変化でストレスを感じていたのか食べては吐いてしまうように…。吐く頻度はたまにでしたが、1~2年続きました。