尹大統領「国会出入りを止めなかった」…韓国軍「大統領が議員を引きずり出せと指示」
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は12日、談話を出して「少数兵力をすこしの間投じたことが暴動なのか」と反問しながら「12・3非常戒厳」の不可避性を強調した。軍投入や統制なども必要最小限度で行われたという主張だ。だが、これは軍指揮官が当時現場で受けたという指示とは相反する。どちらかが嘘をついているか、中間で金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官ら誰かが大統領の指示を歪曲(わいきょく)伝播したという意味だ。 尹大統領は国会兵力投入について「国会関係者の国会への出入りを止めないようにした」と主張した。しかし、郭種根(クァク・ジョングン)陸軍特殊戦司令官(中将)は10日、国会国防委員会で戒厳2日前の1日、国会などを確保するよう指示を受け、「建物出入口を確保して人員が出入りできないようにする状態を維持すること」が任務だったと説明した。警察庁も国会に提出した資料で金峰植(キム・ボンシク)ソウル警察庁長が戒厳宣言直後、国会出入り規制を決めたと明らかにした。 尹大統領は「(兵力投入は)国会解散や機能麻痺(まひ)のためではない。国会で正常審議がなされた」と強調したが、これは結果論的な話である可能性がある。郭司令官は尹大統領が2回目の通話で「議決定足数にまだ届いてないようだ。扉を壊して入り、中にいる人員を引きずり出せ」と指示したと明らかにした。 尹大統領は「国民に亡国的状況を訴える避けられない非常措置だった」とし「一体、2時間の内乱というものがあるのか」と述べた。だが、これは主要人物に対する逮捕作戦が行われたという部分で説得力を失う。防諜司令部のキム・デウ捜査団長(海軍准将)は国防委で「拘禁施設に関連した指示と、逮捕に関連した指示は呂寅兄(ヨ・インヒョン)司令官から直接受けた」とし、逮捕名簿に14人がいたという事実を確認した。逮捕・押送・拘禁のために捜査官を大規模に動員しようとした情況も明るみになった。 尹大統領は談話で「国防長官に戒厳令発令談話放送で国民に知らせてから兵力を移動させるように指示した」と主張した。談話は3日午後10時23~28分に行われた。しかしムン・サンホ情報司令官(陸軍少将)は国防委で金前長官から3日午後9時ごろ、政府果川(クァチョン)庁舎近隣で待機するように指示を受けたと話した。情報司要員が尹大統領の戒厳談話終了から5分後の午後10時33分に直ちに選管委に進入できた理由だ。 尹大統領が選管委兵力投入を巡り「電算システムを点検するように指示した」と主張したが、チョン・ソンウ防諜司第1処長〔陸軍准将(進)〕は国防委で「布告令2番項目であるフェイクニュース、世論操作、虚偽扇動を禁じるなど違反の可能性に備えろとの指示を与えた」と話した。 尹大統領は国会投入戒厳軍が「300人未満の実武装しなかった兵力」だったとも強調した。これを巡っては主張が交錯している。国会事務局は4日、国会に兵力280人余りが進入したと明らかにしたが、共に民主党の夫勝粲(プ・スンチャン)議員は「国会投入人員だけで685人」と集計した。 「戒厳軍が実武装していなかった」という尹大統領の主張に関連し、キム・ヒョンテ第707特任団長は10日国防委で「当初非殺傷武器を使った武力鎮圧作戦を準備していたので、テイザー銃や空砲弾、ケーブルタイなどを携帯した」と話した。