【ランキング】高校生の保護者に聞く「子どもの将来で気がかりなこと」 どこまで心配するの?
夢をあきらめる高校生が増えている?
赤土編集長が危惧するのは、保護者のそうした思いとは裏腹に、当の高校生は夢をあきらめがちな傾向があることです。「調査には出てこない項目ですが、多くの高校生と話をしていて実感しています」 高校生が夢を現実視してしまうきっかけにはSNSがある、と赤土編集長は見ています。 「歌が好きで自信を持っていたある高校生は、TikTokerやYouTuberの歌を聞くうちに、『自分よりこんなに上手な人がいるのだ』と自信をなくしてしまいました。また、絵やイラストの道に進むことを考えていた高校生は、SNSに作品を投稿後、自身の作品への批判的なコメントを見て、『自分には才能がない』と落ち込んでしまったと言います。これに似たような話を実に多くの場所で聞きます」 TikTokerやYouTuberの多くは高校生と同じ、いわゆるプロではない人も多く存在します。だからこそ、容易に自分と比較する対象になってしまうのです。自分と比べて能力が高いと感じると、「現実を見れば自分には無理」「別の道を考えよう」などと考えてしまうようです。 「SNSでの批判も、専門家の評価ではないのに気にしてしまう。その結果、夢に挑戦すらしないでやめてしまうのはもったいないと思います」
子どもには自己肯定感が高まる声かけを
だからこそ保護者に対しては、「子どもの自己肯定感が高まる声かけをしてほしい」とアドバイスします。 「子どもから、『将来、こんなことをしてみたい』と話があった時に、『あなたなら、できると思うよ』『それ、小さい頃から得意だったよね』などと言ってあげてほしいのです。生まれた時から子どもの成長を見ていて子どもの一番の理解者である保護者が、その強みや興味を認めてあげることが自信へとつながります」 また、「時にはSNSから離れて、現実の世界でいつもとちょっと違う経験をすることを子どもにすすめてほしい」と言います。 「子どもたちが普段いる場所や生活は、コンフォートゾーン(心地のよい領域)であることが多いです。そこから一歩踏み出してラーニングゾーン(学びの領域)に行くことで少しずつ自信がつき、自己肯定感が高まります。ラーニングゾーンの目安はドキドキ、ワクワクする体験です。まずは『いつもより早い電車に乗ってみる』『いつもと違う道を通ってみる』ことからスタートすれば十分です。それに慣れたら、普段はあまり話をしない学校や塾の先生に将来について相談するなど、レベルを上げていくといいと思います」 夢を持ち、挑戦することのすばらしさ、たとえ夢がかなわなくてもあきらめずに取り組むことが、その先につながることを大人は知っています。調査結果にある「自分の好きなことをしなさい」という言葉の背後には、そうした保護者の思いがあるのではないでしょうか。
朝日新聞THINKキャンパス