世にも不思議な真っ白オムライス 白い黄身とチーズソースで完成
洋食メニューのド定番でありながら、近年の映えブームにも適応してさまざまに進化を続ける「オムライス」。とはいえ“卵=黄色”の常識が崩されるのは想像のはるか上をいく衝撃力だ。今回は“黄色”ではなく「白いオムライス」を提案して大ヒットを飛ばしている東京・上野の洋食バル「デリツィオーゾ0141」を取材した。 【写真で見る】「白いオムライス」の調理
コストをかけて価値で集客
降り積もった初雪のようなしっとりとした白さが印象的なオムライスとチーズソース。黒塗りの皿とのコントラストが斬新で、シンプルを極めた美しさに見入ってしまう。真ん中にナイフを入れると中に忍ばせてある黄色い卵黄がトロリと現れる演出も秀逸で、客は必ずSNS投稿をする。 これを見て「卵白で作ったオムレツ」と勘違いする客もいるが、そうではない。実は“黄身が白い卵”を使って作っているのだ。「徳島でコメを与えて育てた親鶏が産む『たむらのタマゴ [地米]』を使っています」とオーナーシェフの太田雅也さん。黄身の色は親鶏に与える飼料によって色付くそうで、同卵はトウモロコシなど黄色の素となるエサを除くなど研究を重ねて誕生したそうだ。もちろん化学的な加工は一切なく、栄養価は黄色い黄身より優秀。一般的な鶏卵に比べると5倍超の高コストとなるが、それだけの価値を作り出しているといえよう。 一口食べると見た目にたがわぬ上品な味わい。白いオムレツは軽やかで優しく、カマンベールチーズ・ベースの白いチーズソースと共に食べるとリッチ感が一層高まる。詰められた海鮮ピラフもスパイスに頼らぬ質実重視の味で滋味深い。他方、若者客にはいささか薄味かと思われるところをニンニク醤油のパンチがある和風ダレの味変で補完している。 同品を開発したのは“SNS映え”なる言葉もなかった10年以上前というから驚きだ。「白い卵を知り、これで白いオムライスを作ったらお客さまに喜ばれるだろう」と太田シェフはきっかけを語る。当時は夜のみ営業するワインバーだったが深夜に行列ができるほどの大ヒットとなったという。2019年に独立し、ランチタイムでも食べられるようになったことでファミリー層や年輩客にもファンが拡大。近年はインバウンド客が増えて、来店客の3割を占める勢いだ。
【店舗情報】
「デリツィオーゾ0141」所在地=東京都台東区上野3-7-5 中戸川ビル1階/開業=2019年3月/坪数・席数=15坪・23席/営業時間=11時30分~15時、17時~22時。日曜休/平均客単価=昼2500円、夜3500円
日本食糧新聞社