さっさと年賀状さばいてこいよ!…トラウマ抱えた年金月17万円の68歳独身・元郵便局長「退職金2,000万円」で定年も、現役時代の悪夢が「老後破産」を招いたワケ【FPの助言】
定年を迎えても断ち切れない
郵便で考えてみましょう。時は流れ現在では、携帯電話、SNSをはじめ、インターネットが普及すると、自由にスタンプ等を使いながら、気軽に挨拶ができるようになりました。年賀状を出す人や購入枚数が減少する人が増えることでしょう。 購入をお願いするのは至難の業であったため、Aさんは自身で購入したカタログ商品をお礼に贈ることをしていたのです。そのため、定年後も大量に年賀状を購入、カタログギフトを買い続けます。定年退職したからといって突然やめることは、できなかったのです。長い期間、身内や友人等に、頭を下げて購入をお願いし、ときには保険に加入した人にAさんが購入したものをお礼に差し上げてきたのです。 Aさんが体験したような、ノルマに届かない場合に商品を自腹で購入する営業方法が問題となり、2018年末以降に日本郵便もノルマを廃止しています。Aさんが勤めていた郵便局でもノルマは廃止されましたが、近隣の郵便局と売上争いなどにより、現局長から叱責され、局長時代の部下が困った様子で相談してくると、ついつい助けてしまうのです。 「やめよう、やめよう」と思っても… 何度となく、もうやめようと考えました。しかし、まわりの人から、「毎年楽しみにしていたのに、今年はまだいただいてない」「いままで協力してきたのに」といわれると、ノルマをクリアしなければならないということもなくなったのに、購入をやめることができませんでした。「ノルマがいまだに追いかけてくる……」とAさんは嘆きます。 大人しい性格のAさんは、定年を機にきっぱりとお付き合いをやめるということができずに購入を続け、わずか3年あまりで資産の大半を失ってしまいます。もう必要以上に購入することもないはずのAさんですが、やめることができない苦悩は、年金受給後も続いているのです。現役時代はノルマが心配で眠れなかったそうですが、貯金が日に日に減る現在はこのままでは老後破産だ、という悪夢をみて眠れない日もあるそうです。