なぜ日本には「二大政党制」が根づかないのか? 自民圧勝の選挙結果が「民意とかけ離れている」その「根本的な理由」
小選挙区制の罠
そもそも小選挙区制は「死票」が多すぎる欠点があります。 衆院選では直近2021年、289小選挙区のうち、得票率48%の自民党が65%にあたる261議席を得ました。とても「民意を反映している」とは言いがたい結果です。 しかも、この偏りを是正するために設けられている比例代表制が、むしろ野党の多党化を促しています。たとえ弱小政党でも、比例で有名人の候補を出せば議席は取れる可能性は高まりますから、野党がまとまる必然性が低くなるわけです。 自民党は、志を同じくする議員が集まる政党というより「地域代表」と「業界代表」を掛け合わせた掴みどころのない互助組織です。いわば権力という磁場で結束する「商店街連合会」。イデオロギーではなく、各議員の「個人商店」が利害や打算で動くわけです。 選挙制度を改革するのは至難の業ですから、野党が自民党に対抗するには、わかりやすく広範囲にアピールできる軸をつくるしかありません。 ここ10年ほど自民党の「岩盤支持層」なる言葉が流布していますが、そんな定義は元々ありません。イデオロギー色の濃い右派が当てはまるかもしれませんが、彼らは岸田政権が駄目と判断すると、自民党から離れます。 自民党の本来の支持層は多様で広範です。なんとなく、他にないから自民党という人が支持層の大半だと思います。 つまり保守的な無党派層を味方につけるほかに、野党が「強い足腰」を手に入れられる術はないでしょう。 連続インタビュー(5)はこちら:【東大名誉教授・井上達夫が喝破…岸田総理が「好きなときに解散総選挙できる」今のしくみは「憲法違反」である】 「週刊現代」2024年6月22日号より
週刊現代(講談社)
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