市川團子、23年に亡くなった祖父・猿翁さんへの思い語る「生前のうちに聞いておきたかった」
父・香川照之は『天守物語』出演に「それはもう頑張れ」
歌舞伎俳優の市川團子が、東京・中央区の歌舞伎座で行われた12月歌舞伎座『天守物語』の取材会に出席。23年9月に亡くなった祖父・市川猿翁さんや、24年2月から長期公演を勤めたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』について語った。 【写真】「完全にモデルさんですね」 香川照之の長男・市川團子のプライベート姿 『ヤマトタケル』は、猿翁さんが三代目市川猿之助時代に創始した、独創的な演出による歌舞伎公演シリーズ。團子は2月と3月に東京・新橋演舞場、5月に愛知・御園座、6月に大阪・大阪松竹座、10月に福岡・博多座と、長期にわたって『ヤマトタケル』を上演してきた。 公演を通して成長した部分を聞かれると、「唯一自分の中で変わったと思うのは、台本の読み方や感じ方、自分の考え方です」と語り、「2~3月、5、6、10月と演じさせていただく中で、初歩の初歩の、第一歩ですが、『台本を自分がどう読みたいか』『こう読みたいな』と思えるようになりました」と振り返った。一方、「ずっと舞台に出させていただいていると、どこかで気が続かなかったりするのは悔しい」と反省点も。「できればその役の感情を、極力途切れさせることがないように、役の気持ちをどれだけ保つことができるのか。とにかく何回も自分で台本を読むことが一番の近道だと思います」と語った。 また「『相手の感情を受ける』というのがまだできていない」と明かし、「自分の感情を作ってきても、相手の感情を受けて変化することができていない。そういうところも取り組んでいきたい」と自身を厳しく採点。「公演を何か月も続けていると、声が枯れているわけではないのに声が出ないこともありました」と振り返り、「先輩方は『声も筋肉』とおっしゃるので、まだ筋肉ができていない。体力が落ちると立ち回りのキレも悪くなるので、どれだけ毎日回復してコンディションを保ち続けるか。もっと取り組まなきゃいけない」と語った。 猿翁さんが亡くなって1年経過したことについて聞かれると、「生前のうちに祖父に『ヤマトタケル』の解釈を聞いておきたかったです。どこを直せばいいのか聞きたいですし、指導を受けたいというのはあります」と思いをはせた。祖父の魅力について「熱量は一度も絶やしたことがない人だと思いますし、カリスマでどんどん進んでいく感じがかっこいい。パワフルなところが好きですね」と語り、「どの澤瀉屋(おもだかや)の人も熱量がすごいので、どの舞台でも熱量を持って取り組みたいと思っています」と“澤瀉屋スピリッツ”に触れた。 父で俳優の香川照之は、團子の『ヤマトタケル』については「干渉せず見守る」というスタンスだったという。『天守物語』の出演については、「父から『それはもう頑張れ』と言われています」と応援の言葉があったことを明かした。 『十二月歌舞伎座』の第三部で上演する『天守物語』は、兵庫県の白鷺城(姫路城)の天守閣にまつわる伝説をもとにした、“美しい異形の世界の者”と、“この世の人間”との夢幻の物語。天守閣の最上階に潜む美しく気高い天守夫人・富姫と、若き鷹匠・姫川図書之助(ずしょのすけ)の恋模様が描かれる。今回團子は、坂東玉三郎が富姫を演じる同作で図書之助役を勤める。 ※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、「わかんむり」
ENCOUNT編集部