「見えないナイフで心刺された」女性競輪選手、先輩選手からの性被害訴え損賠提訴
競輪の男性選手から性的関係を強要されるなどの性被害を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や躁鬱の症状を生じたなどとして、女性競輪選手が30日、男性や一般社団法人「日本競輪選手会」、競輪を統括する公益財団法人「JKA」を相手取り、計約2100万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。 【写真】競輪男性選手から無理やりキス 女性選手が処分求め選手会に文書「毅然と制裁を」 女性側は昨年1月、選手会に被害を相談したが、選手会は「裁判で白黒をつけてからの話」と判断を回避。女性側は今年9月に再調査を求めたが、今月11日、「同意がなかったとはいえない」として男性の不処分を女性側に通知していた。女性は選手会に退会届を出したが、受理されていないという。 訴状によると、女性は選手会の兵庫支部に所属していた令和3年10月31日、宴席で当時40代の男性選手から繰り返し卑猥な発言をされキスをされたほか、その後ホテルに連れ込まれ、性的関係を強要された上、口外しないよう脅されるなどした。女性は心身に不調が生じてレースを欠場するなどし、PTSD、躁鬱、睡眠障害などの診断を受けたという。 女性側は訴えで、同支部には「有名・有力選手による支配的関係が存在している」とし、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントが横行していたと指摘。「ハラスメント行為によって(選手としての)未来を絶たれたという無念さ、精神的苦痛は筆舌に尽くしがたい」と主張した。 選手会やJKAに対しては、ハラスメントの事実把握や防止に向けた取り組みを怠った結果、性被害が起きたと訴えた。 女性選手は提訴後に神戸市内で記者会見し「見えないナイフで心が刺されているくらい苦しい」と心情を吐露。「提訴することで泣き寝入りしている方の背中を押せると思った」と話した。 選手会は「誠実に対応してきた。訴状が届いておらずコメントは差し控える」とし、JKAも「訴状が届いていない」とした。