支持率底打つも次期衆院選へ不安要素山積 カギ握る無党派層、88%が岸田首相の続投望まず
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査で、岸田文雄内閣の支持率は8カ月ぶりに3割台に回復し、底を打った。支持率回復を次期衆院選への弾みとしたいところだが、依然として不安要素は多い。衆院選の勝敗のカギを握る「無党派層」のうち5割超が比例代表の投票先は「決めていない」などと回答。一方で、無党派層のほぼ半数が政権交代を望み、岸田首相の続投にも9割近くが否定的だ。 【画像】次期衆院選での「政党議席予測」(5月27日時点) ■無党派層の77%が岸田首相不支持 今回の調査で支持政党がない無党派層は全体の47・9%に上った。このうち77・1%が岸田内閣を「不支持」と答え、いつまで首相を続けてほしいかの設問でも「すぐに交代」と「9月の自民党総裁任期まで」の回答が計88・1%を占め、全体と比べて首相の続投に否定的な傾向が強い。 衆院選の比例代表の投票先に関する質問では、無党派層の57・3%が「分からない・言えない・決めていない」と答えた。一方で投票先に自民を選んだのは11・4%にとどまり、立憲民主党(11・0%)との差はほとんどない。同時に無党派層で「今の野党を中心とした政権交代」を望むのは49・2%に達し、「自民・公明を中心とした政権の継続」の33・0%を上回った。 無党派層は岸田政権の政策にも冷ややかな視線を送っている。自民派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて、自民が公明党や日本維新の会の主張を盛り込んでまとめた政治資金規正法改正案に関しては計65・2%が「評価しない」と回答。1人あたり4万円減税する定額減税についても「評価しない」が計58・2%に上った。子ども・子育て支援金制度を盛り込んだ少子化対策関連法についても「期待しない」が計66・5%に達している。 ■支持層も固めきれず 肝心の自民支持層も盤石とは言い難い。自民支持層の23・9%が岸田内閣を不支持と回答。政権発足直後の令和3年10月の調査時は自民支持層の不支持は9・1%だったが、倍以上に増えた。また、今回の調査で、比例代表の投票先として自民を選んだのは76・6%にとどまっており、支持層を十分に固めきれていない現状が浮かぶ。実際、自民の地方組織からは岸田内閣の退陣要求を含む厳しい声が相次いでいる。自民の若手議員は「多少支持率が上がったところで、厳しい状況に変わりはない。今まで永田町で『岸田おろし』が起きていないのが不思議なくらいだ」と話した。(大島悠亮)