「能代カップに出たからこそわかることがある!」…大会の意義・夏への意気込みを聞く【前編】
能代カップは自分たちの現在地を教えてくれる
「若いチームのもろさが出ました」と大会を振り返ったのが藤枝明誠の金本鷹コーチ。最終日、勝ったほうが優勝という開志国際との一戦は、第1クォーターから終始ペースを握られ、58-83で敗れた。 藤枝明誠の武器といえば、チームディフェンス。ボールマンに対するプレッシャーはもちろんのこと、連動した動きの中で相手のオフェンスを封じ込める印象がある。しかし、「集中力が散漫でプレーで体現できず、甘えが出ていました」と振り返った。 さらに「試合をする前に開志国際という名前と戦っていたのかもしれません。昨年は勝たせてもらっていますが、それもあり慢心というか、準備不足な面が多かったと思います」と指摘した。 昨年までエースの赤間賢人(現東海大学)を筆頭に下級生から経験を積んできた最上級生たちがコートで躍動し、インターハイやウインターカップで上位進出を果たした。しかし、今年、キャプテンを務めるボヌ リードプリンスが3年生になったものの、その分、経験の少ないメンバーが多い印象だ。 藤枝明誠は今回、能代カップに初出場を果たした。「伝統のある大会で、ここに来るだけでも光栄です」と語る一方、「全国で上位を狙うチームの中でどうプレーできるのか。自分たちの現在地も見えてきます」と大会の意義も語る。 インターハイ向けて、キャリアの少ないメンバーを徹底的に育てる時期とも言える。だからこそ金本コーチは「選手たち自身で感じてほしい」と強調した。能代カップで感じたものを血や肉にしていくのは選手たちの意識次第だ。
バスケ以外の面でも学ぶことが多かった
駒澤大学附属苫小牧の田島範人コーチは能代工業出身。それだけに「初めて教え子たちを連れてこられて感無量です」と笑顔で答えてくれた。大会前に合宿を行って準備したというが、「全国で優勝を狙うチームにディフェンス、オフェンスがどれくらい通用するかを課題にしていましたが、予想以上に通用しなかったなというのが感想です。それと選手層がどうしても薄いので、これだけのハイレベルのチームが集まった中で強度の高いプレーをすると、疲労から集中力が切れることもありました」と大会を総括した。 加えて、「北海道ではやり過ごせるミスがここでは許されない。一つひとつ丁寧にプレーしなければと感じました。このレベルのチームになると、一つのミスで一気に流れをもっていかれて、それが命取りになります」と、初めて出場したからこそわかるプレーへのこだわりを実感したようだ。 「全国のトップレベルのチームは立ち居振る舞いから違います。しっかりしているなと感じました。バスケット以外のところが優れていて、そのうえに技術や戦術もきっちりしている。強いチームはこういうことを徹底しているだと気づかされた大会でした」 駒大苫小牧も抱えきれないほどのお土産を抱えて地元に帰っていった。 (後編に続く) 文=入江美紀雄
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