「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由
旧ジャニーズ事務所が“過去”を清算し、所属していたタレントが新たな場で活躍をするためには、下記の3つの要素が整う必要がある。 1. SMILE-UP.社が被害者の補償と救済を誠実に行うこと 2. STARTO社がSMILE-UP.社と完全に切り離されること 3. STARTO社のビジネスが順調に立ち上がること 現時点ですべてがクリアできている必要はないが、少なくとも方向性は明確に示される必要がある。しかしながら、上記3点のいずれにおいても、解決困難な課題が残され続けているのが実際のところだ。
以下、それぞれについて考察してみたい。 ■被害者の補償は進捗するも、困難な課題が残されている 1つ目のSMILE-UP.社側の問題だが、被害にあったことが確認できた元タレントへの補償は、誠実に行われていると考えられる。補償金額は明示されてはいないが、一部報道による被害者からの情報では、通常の性加害の補償金を上回る金額が提示されているようだ。進捗状況も適宜公表されており、SMILE-UP.社は一定の説明責任も果たしている。
しかしながら、被害にあったかどうかわからない申告者への対応には課題が残っている。申告者すべてに補償すべきとは言わないが、被害にあったと申告しているにもかかわらず、補償の対象外とされた人の失望は大きいだろう。現時点ではそこまで手が回らないのかもしれないが、そうした方としっかり対話を行って、事実関係を見極めていく必要がある。 また、被害者への誹謗中傷の防止という点でも、対応は不十分だ。3月30日にBBCの会員専用チャンネルで「捕食者の影 ジャニーズ解体のその後」が配信されたが、BBCモビーン・アザー氏の誹謗中傷に対する対応に関する質問に対し、東山紀之社長は「言論の自由もあると思うんですね」とコメントしている。
これは適切な発言とは言いがたい。SMILE-UP.社、あるいは東山氏は、被害者への誹謗中傷をやめるようにと、数度にわたって呼びかけを行っている。しかし、誹謗中傷はいまだに止まらない状況だ。SMILE-UP.社の力だけで止めることは不可能にしても、呼びかけは続けるべきだし、BBCに対しても報道された際に「誹謗中傷は許されない。当社としても全力で対応を講じる」くらいのことは言ってもらいたかった。 ■ジャニー喜多川氏以外の加害者への対応が不十分である