俳優・風間俊介が“あのときだからこそできた”と振り返る『金八先生』兼末健次郎の名シーン
「あのときしかできないことをやらせてもらいました」と風間さんが語る名シーンとは?
ーーたしかに、日本のドラマで描かれる"熱い教育者”とはちがった印象を受けます。 「そうですね。“教える”というよりも“制御する”というような向き合いかたをしているように思います」 風間さんが16歳のときに演じた14歳の少年・兼末健次郎は、大人の前では優等生を貫き通している一方、裏では陰湿な悪事を働くという二面性が、『金八』シリーズを通しても抜きん出たインパクトを放つ役柄だった。今回、同じく周囲に緊張感を与える14歳の少年と、大人として対峙することに、視聴者としては因縁を感じざるを得ないが--。 「あの役は、あのときしかできないことをやらせてもらいました。“いまじゃもうできない”というのは、学生服を着て中学生役をできない、ということだけではなくて」 風間さんが述懐するのは、第20話のこと。健次郎が誤って母親を刺してしまったのち、警察に連行されるシーンだ。 「連行されて、パトカーから振り向いたときの顔があるのですが、あの顔はもうできないです。あのときだからできた顔ですね。なんであんなことができたんだろう、と思います。自分を褒めてあげたいくらいの表情でしたが、計画的にやったというよりは、“あのときだからこそできた”ものでした。 今回の舞台も、当たり前ですが再演になったらまた違う形になるし、そのときそのときが“いましかできないこと”です。だから松岡くんがいまの年齢で14歳のダリルを演じる瞬間を楽しみにしているし、自分自身もいましかできないことがはじまるな、と思っています」 いまの風間さんと松岡さんが浮き彫りにする『モンスター』。舞台ならではの臨場感で、体験したい。 かざま・しゅんすけ 1983年6月17日生まれ、東京都出身。1997年に芸能活動を開始。1999年、ドラマ『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBS系)で演じた兼末健次郎役で話題をさらい、第3回日刊スポーツ・ドラマグランプリ最優秀新人賞を受賞。2011年には『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で第66回日本放送映画藝術大賞優秀助演男優賞、第70回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞し、以降、俳優として唯一無二の地位を築く。昨年12月独立し、現在はフリーランスとして活動。2024年5月1日、ニホンモニターが発表した「役者のドラマ出演数ランキング」(対象期間:令和元年~令和5年)で出演本数200本を記録、6位にランクインした。 有山千春
有山千春