「資源枯渇・高速道路の渋滞・核兵器所持」には人類のヤバすぎる心理が共通していた!…まさに人類の”醜さ”を表した「集団行動の問題点」
経済、政治の観点からの考察
経済学の世界では、ソースティン・ヴェブレンが『有閑階級の理論』を発表して以来、「誇示的消費」という考えが知られている。本質的な満足感はもたらさないが、社会的地位という点で特定の働きをもつステータスシンボルにかなりの犠牲を費やすことを意味する。 ただし、それらには他人が同等の商品を所有していない場合にのみ価値がある。もし、他人も同じものをもつようになると、みんな損をしたことになる。みんなお金が減ったし、誰もハッピーではない。最初から見栄なんて張るべきではなかった、という状況に陥る。 政治的には、ゲーム理論は冷戦時代の理不尽な軍拡競争においてその価値を証明した。知識人の多くにとって、冷戦世界は単純に正気を失っているかのように見え、ライバルは受け入れようのないイデオロギーで理性が毒され、そのため人間として劣っている、あるいは邪悪であると思えた。 しかし、そのように考えることには、問題を解決不可能な非日常的なこととみなしてしまうという致命的な欠陥がある。実際には、武力による相互抑止というシナリオこそに問題の核心がある。ほかのみんなが核で武装するのなら、私も核兵器をもったほうがいい。ほかのみんなが核武装しないのなら……もっていればさらに有利だ。
ハンノ・ザウアー、長谷川 圭
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