河合優実と坂東龍汰のドラマ『RoOT/ルート』が「かなり深い」…!3回繰り返し見たが、「見るたびにおもしろくなっていく」と言えるワケ
「ドラマを見る価値があった」と思う場面
師匠、どうですか、と振られて、不機嫌きわまりない声で、「なんで、みんな、そんなに銭が欲しいかね」と話し出す。 「そんな大事かい。みっともねえ。ほかにもっと大事なものがあんだろうに……おいテレビみてるあんた……そう、そこのおまえだよ、カメラさん、ちゃんと私を映して…そうそう、そこのお前、お前、お前! ……あのさ、まずは隣にいる人間を抱きしめなさいよ、ん? 慈しめよ、こんなくだらないもの見てる場合じゃないんだよちゃんと隣の人間を見ろってんだよ、ばかやろっ」 カメラが切り替わって、困惑した司会者が話題を変える。 スタジオが凍りつくところも含めて、とても立川談志的であった。 ここだけでも、ドラマを見る価値があったな、と私はおもっている。 立川談志的、というのを、分解して説明してみると。(分解、という言葉を談志さんは好きでよく使ってたなあ、とあらためておもいだす) 口調が不機嫌そうであり、怒りを何かにぶつけているようなところがまさしく談志のようだった。 でも話し出すと、自分の不機嫌さをただ出しているわけではなく、何かしらの正義感から話していることに気づかされる。口は悪いが、言っていることは正しい。それを何故いま言うのだろうというタイミングの問題はあるが、忖度のないストレートな物言いにはひたすら、小気味よさがある。 途中で、言い始めの不機嫌さが不快でなくなっていき、いつのまにか、彼の言ってる内容につい耳を傾けてしまう。 そのあたりである。 松尾貴史はとても談志に近い人だったとおもう。
随所にあった「細かい作り込み」
立川談志は松尾貴史という芸人を認めていたし好きだったし可愛がっていたように見えた。だから松尾貴史の演じる落語家のキャラには立川談志さが入り込んでいて当然だろう。 はっとさせられる懐かしさがあった。 笑風亭呑楽の役は、大事な役ではあったがメインの役どころではない。 それほど大きな役ではなかったにもかかわらず、痛烈な存在感を放っていた。 それはとりもなおさず、ドラマがいろんなところに変な力を注入しているから、ということだろう。 細かくおもしろく、ちょっとアンバランスなのだ。 そこが魅力になっている。 ストーリーを追って見ているだけで楽しいドラマだ。 でも、繰り返して見ると、細かい部分の作り込みにいろいろと気づく。 さっき三回繰り返してみて、見るたびにおもしろくなっていった。 かなり深いドラマである。
堀井 憲一郎(コラムニスト)
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