IBF世界王者・岩佐亮佑の王座陥落理由と亀田和毅のリング乱入暴挙
最後に。 試合直後にリングに乱入。「次は俺だ」と新王者のTJに対戦要求した亀田和毅の行動にモノを申したい。 「ここから出ていけ!」と怒鳴って亀田を突き飛ばした新王者が「今、この瞬間を邪魔されたくなかった」と言ったが、まさにその通りである。試合後のリングは、勝者だけに与えられた特別な時間と場所である。 事前にこの試合の勝者と対戦する交渉でもあって、主催者の許諾があり次の興行を盛り上げるプロモーションの一部ならまだしも、神聖なるボクシングのリングで、こういうプロレスまがいの行為は許されない。 いやプロレスには、筋書きがあるだけプロレス以下の行為である。 「俺に殴られなかっただけ幸運だと思え」 試合後、新王者のTJも、この暴挙に関して怒りが収まらなかったのも当然である。 後楽園ホールが舞台となったが、この世界戦を実現するためにセレスジムを始め、関係者が、どれだけの努力をしたのかに敬意を表すべきである。それが礼儀であり伝統と格式のあるボクシングの世界なのだ。 きっと亀田兄弟は、“そんな常識にとらわれているから、今のボクシング人気が上がらないんだ。面白くないんだ”とでも、抗弁しそうだが、そんな面白さは、ボクシングには不必要。試合が決まってから、散々、トラッシュトークでもやればいい。高度なスキルと、日本vsアイルランドの異様な空気に包まれた後楽園の記憶に残る世界戦の最終シーンが台無しになった。ちなみにTJは、亀田和毅の挑戦を受けるか?と聞かれ「これまでの俺のキャリアを見ればわかるだろう。いつ、どこでも誰の挑戦も受ける」と答えていた。 だが、次の試合の興行権を考慮すると、暴挙をしでかした亀田よりも、先月、久我勇作(ワタナベ)との日本同級タイトル戦をTKOで勝った和気慎吾(FLARE山上)に可能性があるだろう。和気もリングサイドにいたが、何かを決意するかのように静かに後楽園を後にしていた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)