ジャンポケ斉藤で注目、「性的暴行」と「わいせつ行為」何が違う? 弁護士が捜査のポイントを解説
昨年7月の法改正前であれば、罪に問われなかった可能性も
一連の法改正の経緯について、西山弁護士「強制性交等罪のときは暴行や脅迫があった上での性交等でなければ認められませんでしたが、不同意性交等罪となったことで暴行や脅迫の要件はなくなり、同意があったかどうかが問われるようになりました」と解説。今回の事件は、昨年7月の法改正前であれば、罪に問われなかった可能性もあったという。話題を呼んだ同事務所の松本人志(民事で係争中)やサッカー日本代表の伊東純也選手(その後嫌疑不十分で不起訴)は不同意性交等罪施行前の事案で、同じくサッカー日本代表佐野海舟選手の例(不起訴)を除けば、芸能人が絡んだ初めてのケースになるのでは、と西山弁護士はいう。 不同意わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役。不同意性交等罪は5年以上の懲役で、執行猶予がつかない実刑となる可能性が極めて高い。今後の捜査を巡っては、両者に同意の認識がなかったかどうかが最大のポイントになるという。 「不同意性交等罪や不同意わいせつ罪は、当事者の認識が曖昧な場合も多く立証が難しい。訴えられた側は、なぜ同意があったと思ったのかを反証しなければなりません。今回であれば、ロケバスのドライブレコーダーなどの客観的な証拠はかなり重要です。仕事中で人の出入りも多いロケバスの車内で、はたして不同意性交等罪が成立するのか。性被害を巡る事件では、被害者が裁判で証言する心理的負担を避け、示談となる場合も多いですが、仮に起訴されれば注目される裁判になることは間違いありません」 報道では、メディアによって「性加害」や「性的暴行」などの表現が混在しており、行為の内容が分かりにくかったり、言葉がひとり歩きしてしまい誤解が起こりやすい場面もある。西山弁護士は「不同意性交等罪や不同意わいせつ罪の基準は同意があったかどうかで、暴行や加害行為の有無にかかわらず犯罪になり得ます。いずれも法律用語ではないのでメディアの表現次第ですが、表現が強すぎてかえって実態に則していない面もあるのではないでしょうか」と話している。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム