局地化進む豪雨、もっと高精度に予測できれば…最先端計測器と衛星データをAI学習、甑島プロジェクトが始動 九大などチーム
線状降水帯などの豪雨を予測するシステムの開発に向け、気象データを収集する実証実験が鹿児島県薩摩川内市の下甑島で始まっている。地球温暖化で大雨や洪水の頻発化や激甚化が懸念される中、予測の精度を高めて防災・減災対策に役立てる。 【写真】〈関連〉気象データを収集する実証実験が始まった薩摩川内市甑島の位置を地図で確認する
気象計測機器を製造・販売する英弘精機(東京)や、九州大学などでつくる共同研究チームが国の委託を受けて2月から取り組む。国内有数の豪雨地域の甑島が観測地に選ばれた。 下甑島の旧鹿島中学校隣の敷地に、レーザー光を打ち上げて上空の水蒸気量や気温、風速などを測る最先端の機器「ライダー」を設置。得られたデータを、人工衛星や高層天気図のデータとともにAIに学習させ、降雨量や河川流量・水位を高精度で予測する仕組みをつくる。 今後は長崎県でもデータ観測を始める。将来的に市町村の災害対応に生かすことを目指す。 ライダーを共同開発した英弘精機の長谷川壽一社長は「引き続きライダーの開発を進め、最終的に実社会での活用につなげていきたい」と話した。 8月21日は、下甑島の鹿島公民館で気象教室があり、参加した地元の小学生らがライダーや観測器を付けた気球を飛ばす様子を見学した。 鹿島小学校6年の榊咲良さんは「ライダーの働きを知って驚いた。これからは雨雲レーダーを見て危ない時は、家族で対策を相談したい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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