深刻化する“ごみ問題”の最前線…最終処分場が20年ほどで限界に
以前は焼却処分されていたという生ごみが運ばれるのは「共和化工」という会社。 ここに1日に集まる生ごみは1トン以上。ここ共和化工では微生物の力で生ごみを堆肥に変えているという。 その工程は、微生物が多く含まれる土を生ごみの上にかけていく。
微生物が満遍なく行き渡るよう1時間かけて混ぜ合わせ、数日置く。 するとごみから湯気が出てくる…。生ごみの80%は水分といわれ、その水分が湯気となって出てきたのだ。 サーモグラフィーで見てみると、表面温度は70℃以上、最も熱いところで100℃近くになるという。これは微生物が酸素を取り込み高温発酵しているから。この高温で活発に働く微生物があらゆる有機物を分解していくのだ。床に敷かれたパイプから常に空気を送り込むことで菌を活性化させるのだ。 これまで燃やすしかなかった生ごみが、1カ月半ほどでサラサラの堆肥に。この資源リサイクル事業で、年商80億円を誇る共和化工。吉村俊治社長は、堆肥を指差し「我々からしたら宝物」と話す。
共和化工のビジネスは海外にも広がっている。その一つがフィリピン。 というのも、フィリピンではこれまで廃棄物の焼却が禁止されており、いろいろなごみを積み上げた野ざらしの処分場が各地に点在していた。しかし政府は、2021年に野ざらしの処分場335カ所を閉鎖。今後は衛生的な埋め立て処分場の建設を進めるとしているが、深刻な「ごみ問題」は続いている。
フィリピン・ミンダナオ島の中心地・ダバオ。共和化工で海外事業を担当する松澤奏宏さんと中村規代典さんがやって来たのは「ダバオ・サーモ・バイオテック社」。実は共和化工はこの会社と組み、2017年から生ごみの堆肥化事業を始めていた。その堆肥は「ドクターボー」という商品名で既に販売されていて、すでにカカオ農園やバナナ農園で使われている。
二人が向かったのはダバオ郊外の食品加工工場。案内された先にあったのは大量のバナナの皮や、加工の工程で出たバナナの端材など、すべて商品化できず残った生ごみだ。フィリピンでは、こうした工場から出た生ごみも焼却処分は禁止されている。 そのため、いまだにバナナの皮などの生ごみを不法投棄する業者は後を絶たない。 しかし、この会社では環境意識の高まりから、わざわざ処分費用を払って、共和化工の協力会社に引き取ってもらっている。「当初は廃棄物に対してお金を出す文化がないと聞いていたが、徐々に大手から変わってきている。うちとしては当然ビジネスチャンス」と松澤さんは話す。
ダバオにある共和化工の技術を使った堆肥化工場には、1日20トン、実に益子の20倍の量の生ごみが集まる。そこへ去年12月以来の視察にやって来た松澤さんと中村さん。 すると、2人の表情がいきなり厳しくなった。工場で作られている堆肥の質が、日本と比べて悪くなっていたのだ。一体何があったのか……。 ※「ガイアの夜明け」より
テレ東プラス