潰れた家屋から離れようとしないネコ、敷地から出ない犬…能登地震の被災地で問題化する「ペット問題」
1月2日に羽田空港で海上保安庁の機体とJAL機が衝突した無残な事故で、貨物室に預けられていたペット2匹が犠牲になったことは記憶に新しい。そして今回の能登半島地震でも多くのペットが不運に見舞われていたのである。 【画像】ひどい…!被災地の「ヤバすぎるトイレ事情」写真…! 輪島市内、多くの建物が被災し一階部分が完全に潰れてしまっている建物が多く存在する中、筆者は取材を行っていた。すると潰れた家屋の一階から猫の鳴き声が聞こえてきた。かろうじて人が入れそうな建物の隙間から目をやると、柱などが倒壊し、物が散乱した部屋の中で一匹の猫が悲しそうに鳴いていた。 声を掛けたが床に落ちた衣類の上に座り微動だにしないのである。通りがかった役所の職員なども声を掛けていたが、静かにその位置を保っていた。ケガなどはしていなさそうだったが、飼い主の帰りを待っているのだろうか。時折雪が部屋の中に舞い込む中、この猫は静かに過ごしていた。飼い主と猫の無事を祈るばかりである。 珠洲市内でも同様のことが起こっていた。取材を続けていると2匹の犬が吠える声が聞こえてきた。目を向けると、一軒家の庭や畑を元気に走り回る2匹の白い犬がいた。通りがかる人に向かって吠えており、柵は乗り越えられる高さだったが、この犬たちもまた家の敷地や庭からは一切出ようとしなかった。 一方、各市町村で開設されている避難所のペット受け入れは様々だ。 完全NGとしているところや、大型犬のみ不可、小型動物のみ可、同伴OK、ペットと生活できる部屋が用意されるなど各市で非常にばらつきが大きい。これは各市の避難所のキャパの問題などもある。しかしせっかく避難所で生活できたものの、ゲージに入れて過ごさざるを得ない状況や、鳴き声の問題や動物が苦手な方などもいて、飼い主は周囲に気を遣い、結果的に車中泊や被災した家へ戻ってしまったというケースも多いという。 車中泊では寒さが苦手なペットはエンジンを切るわけにもいかず、エンジンをかけたまま一夜を明かすということで、ガソリンの消費量にも頭を悩ませているという声も聞かれた。 ペットもまた大事な家族に変わりはないが、災害に遭遇した際に我々人間がどのように行動できるのか課題が残る。 取材・撮影・文:有村拓真
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