<カープ若手育成論>高二軍監督が噛み締める〝二軍監督のやりがい〟と〝難しさ〟
カープのリーグ3連覇時には、一軍ヘッドコーチとしてチームを支えてきた高信二氏。新井貴浩監督を始めとする多くの選手を鍛え上げ、2021年からは二軍監督として若鯉の指導に尽力している。指導者歴26年目の高二軍監督の育成論に迫る。(全2回・第2回) 【写真】若手選手が生活する大野寮の寮長を務める、道原裕幸さん ◆貪欲に1つ先の塁を狙い全力疾走。泥臭く、ひたむきなプレーこそカープの伝統 若い選手いとって重要なのは、体力があっての『練習力』。これが大事になってくるでしょうね。 現在プロ野球は一軍にしても二軍にしても、昔に比べれば試合数も増え、スケジュールもタイトです。試合をしながらいかに練習をこなしていくかが大事になるでしょうし、レギュラーになれば毎日試合に出場する体力も必要になってきます。ですので、二軍の現場ではトレーニングコーチが様々な練習方法を導入しています。選手たちの体力を見て、まずは体づくりから入り、そこから技術向上へステップアップしていく流れです。私たちの時代は根性論がありましたが……(苦笑)。そういう状況下で、カープの良い伝統を残していきたいですね。 カープの伝統について私の見解ですが、とにかく貪欲に1つ先の塁を狙い全力疾走すること。そして泥臭く、ひたむきなプレー。これがカープの伝統だと思っています。ここは二軍監督として厳しくしているところです。 二軍若手育成においての難しさは、逸材と言われる選手たちの故障です。そこは細心の注意を払わなければならないと思っています。それが原因で野球を断念せざるを得ない形だけは避けたいですからね。そして、やりがいを言うならば、鍛え上げた選手が一軍に上がって活躍する姿を見ることです。そういう選手たちの初打席を見ていると私もドキドキします。今季は二俣(翔一)が初安打を打ちましたが、本当にうれしいものです。 プロ野球界でカープのユニホームを着たからには、みんなを一軍に上げたいのは当然です。なかなかそうはいかないかもしれませんが、1人でも多く一軍の舞台に立てるように後押ししていきたいですよね。そのために、選手たちがやりやすい環境づくりに務めること。それが二軍監督としての思いです。 高 信二 (こう・しんじ) 1967年4月16日生、福岡県出身。 東筑高-広島(1985年ドラフト2位~1998年引退) 現役時代は内野守備のスペシャリストとして活躍。引退翌年からコーチに就任し、一軍コーチ、二軍コーチを歴任。二軍監督としては、2015年、2021年~今季5年目。
広島アスリートマガジン編集部