リクエストは原則「手紙」で27年 アニソン番組担当アナの思い
リクエストの大半に「近況報告」も
岩崎アナは、いつも放送開始の約11時間前の午前8時すぎくらいには同局へ来て、はがきに目を通すという。800通というのは相当数に思えるが、ひたすらそれを読むという。「もう27年も番組をやっていると、文字や書き方で『この人や』というのがわかるんです」と笑顔の岩崎アナ。 部屋の周囲はとても静かで、扇風機が回る音が少し響く。それは土曜日で出社する人が少ないからだ。また同局はビルのワンフロアにあり、土曜日は休みの社員が多いためエアコンは限られた部屋のみ作動。そのため、部屋の入口に扇風機を置いて、静かに手紙を読んでいるという。 だが、手紙の内容を教えてもらうと、好きなアニソンのリクエストを書いているだけではない。その800通のうちのほとんどが、自身の近況報告などをていねいに記していた。中にはパソコンで打ったものもあったが、大半は手書きだった。800通という数字に卒倒してしまうが、同番組が始まったあと、全盛期のころには毎週3000通ものリクエストが届いていたという。 「その時はどうやってみていたんですか?」と聞くと、岩崎アナは「当時はここ(同局)のアナウンサーでしたから、時間をみつけてはその週にリクエストを読んでたんですよ」と笑顔で即答してくれた。しかし、これだけでも並大抵の作業でないことは想像できる。 例えば、おじゃました16日には「宝塚歌劇を観劇してきました」という、少し分厚い手紙などもあった。岩崎アナは封書をあけその手紙を広げると、静かにじっと読み、時折、笑みを浮かべる。「この手紙に限ったことではないんですが、この文字の一つひとつには、空気がまとっているというか、その時々の状況がすぐに浮かんでくるんですよね。だから、自分も宝塚に行った気になれるし、いろんなジャンルの手紙を頂くんで、こちらもそれが、大きな情報になり世の中の動きをつかむきっかけにもなってるんですよ」 過去には、リスナーの悩みが書かれた内容から、同局の報道局に「こういう話があるから調べたらどうか」と相談した例も多々あるという。「それだけ、手書きの手紙というものは、人に伝わるというか、僕らはこのリクエストのはがきや手紙に寄っかかってやってきたんだなあと思う」と岩崎アナは振り返る。 それと、聞けば岩崎アナもラジオを聴いて育ったそうで「よく浜村淳さんのラジオにはがきを書いて送ってました。それが読まれたら本当にうれしかったんです」と語る。なるほど、こうした800通もの手紙を送ってくれる人たちの気持ちも、人一倍わかるそうで、ほとんどが読むことができないことも申し訳ないけど、あきらめずに送ってくれる人たちの気持ちは本当にうれしいという。