微生物で半永久的発電 野外センサー電源に 四国電力と東京農工大が実証開始
四国電力と東京農工大学などの研究チームは4日、微弱な電気を生み出す微生物「発電菌」を使った燃料電池の実証実験を、愛媛県八幡浜市のかんきつ園地で始めた。電源のない場所でも、半永久的かつ安価に発電できる可能性がある。自然環境で安定して発電できるのかを調べ、農業現場で使われるセンサーなどの電源として活用を目指す。 【画像】 「発電菌」燃料電池の電圧などをチェック実証 発電菌は有機物を分解した際に、電子を放出する特性を持ち、東京農工大によると、全国各地の土に含まれている。実験に使う電池は、350ccの箱に土を入れて電極を刺した簡素な仕組みで汎用(はんよう)性が高く、四国電力は「将来的に安価に提供できる可能性がある」という。 実験では、園地内に電池を埋めて、1年ほどかけてどの程度の電力を確保できるのか確かめる。その後、土壌水分センサーなどに取り付けて実証する。農業現場では、水田以外での実証は全国初。 土壌水分量のセンサーや、野生鳥獣のわなに取り付けるセンサーなどの電力源には通常、太陽光や乾電池が使われる。一方、山間の果樹園などでは、ソーラーパネルが使えなかったり、定期的にバッテリー交換などに出向いたりする必要がある。今回の電池は、夜間や悪天候でも動く他、交換が不要で、日陰にも設置できる。 発電菌から回収できるのは微弱な電力だが、まとまった量になるまで蓄電して定期的に放出する仕組みとし、センサーなどに必要な電力を供給する。土砂災害の可能性を察知するセンサーなどにも利用できる可能性があるという。
日本農業新聞