【イベントレポート】「若き見知らぬ者たち」磯村勇斗が内山拓也の“叫び”を表現、福山翔大は過酷な役作り回想
映画「若き見知らぬ者たち」の完成披露舞台挨拶が本日9月25日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、霧島れいか、滝藤賢一、豊原功補、監督の内山拓也が登壇した。 【動画】福山翔大を追った「若き見知らぬ者たち」メイキング、試合はリアルを追求 本作の主人公は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母・麻美の介護をしながら昼夜働く青年・風間彩人。弟・壮平も同じく借金返済と介護を担いながら、亡き父・亮介の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れていた。息の詰まるような生活にむしばまれながらも、彩人は恋人・日向との小さな幸せをつかみたいと考えている。しかし彩人の親友・大和の結婚を祝う宴会の夜、彼らのささやかな日常は思いもよらぬ暴力によって奪われる。 彩人を演じた磯村は「内山監督の作家性に惹かれた。彼の内側には何か叫びたいものがあるんだろうなと感じたんです。僕はその声を彩人というフィルターを通して表現したいと思った」とオファーを受けた経緯を明かす。また自身の役について「呼吸をすることだけで精一杯のような人物」と分析し、「役作りだけでも大変でしたが、それ以上に翔大が(劇中での)格闘技に向けて一生懸命やっていた。それを隣で見ていたので僕もがんばれました」と福山から刺激を受けた様子だった。 日向役の岸井は、MCから演じる上で大切にしていたことを尋ねられると「こぼれそうな思いをこぼれないように我慢する。どんなにつらくても、心がひたひたになってしまっても我慢する。そんなふうに演じていました」と語る。クランクアップの際にひげを剃った磯村とばったり遭遇したことを明かし、「『誰!?』と思うくらい現場で彩人としていてくださったんだなと感じました」と回想。磯村は「撮影の最終日は大事なシーンでもあったので、本当は姿を現したくなかった。でも会ってしまって、ショックを与えてしまったのは反省しています」と頬をゆるませた。 約1年間の準備期間を経て撮影に臨んだ福山は「朝から夜まで、今までの生活リズムをすべて変えました。食べ物、飲み物もそうです。総合格闘技の選手としての説得力を積み上げられるように、壮平という役と向き合ってきました。内山監督の本気度、その思いを具現化できるように精一杯がんばりました」としみじみ。大和を演じた染谷は、磯村との初共演を振り返り「初めましてな気がしなかった。本当に自然と、心地よくお芝居をすることができた」と述べ、磯村は「(染谷のことが)ずっと好き。自分のデビューする前から素敵な役者さんだなと思っていた」と続けた。 麻美を演じた霧島は「撮影に入る前が苦しい時間だった。悩み、考えさせられ、怖い思いもありました。ですが内山監督とコミュニケーションを取るうちに、麻美という人物像を築けた。本番では難しく思うこともなく、監督を信頼して芝居に集中することができた」と述懐。磯村は「霧島さん演じる母の姿を見たときに、僕は言葉が出なかった。そこに母として存在してくださった。それだけで彩人になれる。本当に助けていただきました」と感謝を伝える。 傲慢な警察官・松浦に扮した滝藤は「内山監督の注文に応えたい一心でした。それが難しかったんですが、『だから僕なんだ!』と。また新しい滝藤賢一が見せられると思ってチャレンジしました」と述べる。亮介役の豊原は「現場で磯村さんたちのまとう空気が、脚本を読んだときに感じた記憶の端々を突いてくる感覚に近い迫力があった。すごく幸せな現場に参加させてもらった」と磯村らをたたえた。 内山は「佐々木、イン、マイマイン」では入念なリハーサルを重ねた上で撮影に臨んでいたが、今作ではリハーサルなしの本番というスタイルで勝負した。MCからその意図を問われると、「俳優の方々の感情やその奥にあるものを(リハーサルで)消費させたくなかった。みんながチャレンジしているので、自分もこの手法でいきたいと事前に伝えてから現場に入りました」と明かす。最後に磯村は「内山監督と僕らが信頼し合って作り上げたのが『若き見知らぬ者たち』です。重く、つらいシーンもあります。ですが、その先にあるものは何かというところを皆さんと一緒に考えていけたら」とメッセージを送り、イベントは幕を下ろした。 「若き見知らぬ者たち」は、10月11日より東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。 (c)2024 The Young Strangers Film Partners