《衆院選2024》街頭演説 厳戒の会場 「聴衆と距離」陣営複雑 茨城
衆院選で大物弁士が茨城県に入る中、街頭演説の会場で厳戒態勢が敷かれている。2022年7月に安倍晋三元首相の銃撃事件が起きてから初の総選挙。県警は手荷物検査や金属探知機の導入など要人警護を徹底するが、陣営は弁士と聴衆が接触できず「距離感のある交流になる」と気をもんでいる。 16日正午前の同県取手市のJR取手駅東口。県警警備部の警察官ら数十人が選挙カー周辺を囲うように並び、不審な通行人がいないか目を光らせた。立ち止まる人がいれば「聴衆エリア」へ誘導。金属探知機を使って、手荷物や着衣の中に危険物がないか検査した。 選挙カーの上には、弁士の背後に防弾資機材を2枚設置。近隣ビルや駅屋上にも警察官を配置し、高所からの襲撃にも神経をとがらせた。 聴衆が待っていたのは首相経験者。応援演説を要請した陣営関係者によると、茨城県入りは13日ごろに決まり、陣営と県警は急きょ警備計画について協議した。当初は人通りの多い同駅西口での実施も検討したが、西口は今夏に新しい交通広場の供用が始まったばかり。警備実績がある同駅東口での開催となった。 演説は無事に終了したが、弁士と聴衆の握手など応援演説でこれまで見られた光景はなかった。陣営関係者は「弁士の安全確保が第一。仕方ない」としながらも、「告知も控え、弁士と聴衆はグータッチもできない。(物理的、精神的にも)距離感のある交流にならざるを得ない」と話した。 選挙活動時の警護を巡っては、安倍元首相が22年7月、参院選の応援演説中に銃撃され死亡する事件が起きた。警察庁は事件後、「警護要則」を約30年ぶりに改定したが、その後も衆院和歌山1区補欠選挙の演説会場で、爆発物が投げ込まれる事件が発生した。 今回の衆院選は、警護要則の改定後で初となる大規模な国政選挙。県警の滝沢幹滋本部長は「警護対象以外の候補者などについても適切な警戒警備を行う必要がある」と厳戒態勢を指示している。
茨城新聞社