大丸東京店の“売らない店”が4倍に増床 ブームから数年、見えてきた本質と価値
ブランドを深掘るキュレーションエリア
商品だけでなく歴史や製造背景を知る
移設後は、一部商品をその場で購入できる物販コーナーを設ける。ウールTシャツなどを取り扱う「C-ONE」やコスメブランドの「ジブンサロン(JIBUN SALON)」、インテリア雑貨の「スフェラーパワー(SPHELAR POWER)」など20ブランドの展開からスタートする。全体で取り扱うブランドの数はほぼ増やさず、カフェの飲食ゾーンや特定のブランドに光を当てるキュレーションエリアに大きくスペースを割いた。
移設拡大での強化ポイントは「知る、試す、考えるという顧客体験を深める」こと。その考えを象徴するキュレーションスペースは、移設オープンから6カ月間、「デルメッド(DERMED)」「イロイク(IROIKU)」などのビューティブランドを展開する三省製薬にフォーカスする。同社ブランドの商品テスターのほか、製薬会社としての出自や歴史、製造背景などに関するコンテンツも展示することで、来店客とブランドの接点をこれまで以上に立体的にする。
出展者のリアルな声
「販路拡大のチャンスにつながった」
三省製薬の陣内宏行社長は、「明日見世」の移設前にすでに複数回出展し、その価値を実感したという。「これまで当社はEC販売を中心に事業展開してきたが、ネット上の情報があふれる中で自分たちのブランドや商品の価値を届けることが難しくなったと実感している。そんな中、『明日見世』に出展したことで、一般のお客さまはもとより他の百貨店や専門店のバイヤーともリアルでつながり、販路拡大などのチャンスにつなげることができた」と話す。
改装で取引先が出品するメリットを高めるとともに、出展料は従来の12週間あたり45万円から90万円へ引き上げる。出展料収入は移設前の2.5倍とする計画だ。