菅野智之はついに夢のメジャーへ
一度は閉ざした扉を開けた。菅野智之投手(35)は巨人から海外フリーエージェント(FA)権を行使して、オリオールズと年俸1300万ドル(約20億円)で1年契約を結んだ。
2020年のオフは、複数球団が獲得オファーを出すもコロナ禍で各球団の収益は激減。4年総額4000万ドル(約63億円)規模のオファーがあったとされるが、菅野のキャリアを正当に評価し、敬意や熱意を十分に感じ取れるような契約内容ではなかったようだ。だが、4年を経てたどり着くことができた。
「全然、難しくない決断でした。本当にこの舞台に立つのが夢だった。ある程度日本ではやれたと思う。今回の決断は全然、難しくなかった」
メジャーへの思いを強くしたのが、2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だったという。3月21日にドジャースタジアムを会場にして行われた米国代表との準決勝で先発した菅野は、6回を投げ3安打1失点(自責点0)、6三振を奪った。
「自分の夢だったメジャーリーグで投げることは、2017年にドジャースタジアムで投げることができて、本当にその夢に対して明確になったというか、本当に心から投げたいっていうふうに思ったので、WBCはそういう大会でした」
4番のアレナード(当時ロッキーズ、現カージナルス)を3打席連続三振に封じるセンセーショナルな投球。すでにメジャースカウトに名前は知れ渡っていたが、評価を急上昇させたマウンドだったことは間違いない。
メジャーへの思いを胸に秘め、巨人のエースを張った4シーズン。海を渡りたい思いは、ずっと心にあった。
「常にその気持ちは持っていました。去年のオフシーズンに本気でやらなきゃいけないなっていう思うタイミングがあって、そこでしっかり成績を残した上で、もう一回メジャーリーグに挑戦する。これもひとつの目標にできました」
今季は15勝3敗、防御率1・67で最多勝と勝率第1位のタイトルを獲得。4年ぶり3度目のセ・リーグ最優秀選手(MVP)に輝き、リーグ優勝に導いた。移籍するオリオールズは、2年連続のポストシーズン進出を果たしている強豪。有望な若手内野手、スター捕手のラッチマンらがそろう。今季ワールドシリーズに進出したヤンキースが所属する同じア・リーグ東地区。激戦区でも地区優勝を十分に狙える戦力だ。