中年の今どき恋愛事情、燃え上がらなくても若者に負けない輝きを放つ“3つの特徴”
出演者が全員35歳以上の恋愛リアリティショー『あいの里』(Netflix)をご存じだろうか。恋愛リアリティといえば若者のもので縁がない……と思っていた中年も思わず振り返る企画である。若者とは違う、中年ならではの葛藤が見えるのが興味深いが、それでは若者の恋愛になくて中年の恋愛にあるのは何であろうか。(フリーライター 武藤弘樹) ● 「全員中年」の恋愛リアリティショーに見る 若者と決定的に違う3つの特徴 恋愛リアリティショーも発達してきて、様々な趣向が凝らされるようになってきた。Netflixで配信中の『あいの里』は、田舎の古民家で男女8人が共同生活をしながら恋を探し育む番組だが、参加者が全員35歳以上という点が特徴的である。 恋愛リアリティショーはおおむね「若者」と称されるのが妥当な出演者らによって繰り広げられるのが常であり、若さゆえの輝かしさや幼さが見どころのひとつであったりする。が、『あいの里』は参加者の年齢ゆえそれがなく、もっと落ち着いたアダルトな男女のやり取りが鑑賞できるのかと思えばそれとも違って、かなり活発な恋愛模様が展開され、これはこれで相当な見応えとして仕上がっているのであった。 この番組を見ていて、「若者の恋」になくて「中年の恋」にはある要素をいくつか発見することができた。それは何か。
● 中年の恋愛が「変化・成長」ではなく 「完成品の応用」である理由 1つ目は、「変化していこうとする柔軟さが少ない」ことである。若者の場合は恋をきっかけに自分を変えていったり、あるいは日々自分を成形していきながら恋を探したりするものだが、中年の恋からは変化していこうとする気配があまり感じられない。 いわば「自分作り」とでも呼ぶべきフェーズはすでに完了しているのが中年であり、その上で行われる恋は「成長の一記録」ではなく、「完成品の運用」という趣きである。 しかしその代わり、中年は自分の形にフィットする相手探しに貪欲でもある。たとえば若い人に好きな異性のタイプを尋ねたときに聞かれる、「優しい人」「面白い人」といった回答がある。これは当たり障りのない模範解答でありながら、本人も自身の本音としてまあまあ納得できる希望でありつつ、実際に好きになる相手はあまり「好きな異性のタイプ」に当てはまらなかったりする。 要するに若者は、実際には「好きになった人がタイプ」なのであり、それも自分を成形していっている最中だからこその柔軟さであると言える。 他方、中年に「好きなタイプ」を尋ねたとき、実際に好きになる相手はその「好きなタイプ」にわりと当てはまる。自分が変化しながら恋を探しているのではなく、完成した自分に当てはまる相手を探している趣きが強まるのである。また、自己分析してきた量が若者より多いがゆえに、正確に「好きなタイプ」を答えられるというのもあるかもしれない。 経験の厚みというべきか、熟年の頭の硬さというべきか、はたまたその両方か、とにかく中年の恋はそういった傾向がある。