16歳の娘はなぜ亡くなったのか 「どうしてこんなことに…」壮絶な最期を追い、トー横にたどり着いた父
警察署で娘と対面した際、体にかけられた布が不自然な形になっていてめくることができなかった。娘は知らぬ間にトー横に行き、そして亡くなった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介) 【画像】あきこさんが亡くなった時に持っていた遺品。飲み薬もあったという
●死後に知った娘のトー横通い
JR新宿駅から歩いて約10分。東京・歌舞伎町にある新宿東宝ビルの周辺は「トー横」と呼ばれ、全国各地から集まった未成年や若者がたむろする。 彼らは「トー横キッズ」と呼ばれ、市販薬を大量に飲むオーバードーズや薬物の売買、性犯罪などに巻き込まれるトラブルや事件が多発している。
東京都内に住む会社員の浩三さん(41歳、苗字は非公表)は2023年3月、自死した娘・あきこさん(当時16歳)がトー横に通っていたことを死後になって初めて知った。
あきこさんは3人姉妹の長女で、中学1年の夏休みが終わったころから学校に行かなくなった。家で寝ていることが多かったという。不登校になった理由は今も分からない。 浩三さんは夫婦共働きで、特に浩三さんは仕事がとても忙しく、子どもたちとゆっくり遊んだり話したりする機会がほとんどなかった。 そんな中、あきこさんは中学を卒業すると同時に家を出て、学生寮に住みながら高校に通うようになった。
浩三さんはあきこさんとコミュニケーションをうまく取れなくなり、娘がどのように生活しているのかも把握できなくなっていたという。
●「元の関係に戻ればいいな」期待した矢先に
2023年1月、あきこさんから連絡があり、彼氏を紹介された。彼とも電話で話し、2人には「普通に交際するぶんにはいいよ」と伝えた。 「彼氏を紹介してくれてうれしかった。これから元の関係に戻ればいいな」 浩三さんがそう期待していた矢先だった。
2023年3月27日朝、通勤途中の浩三さんのスマホにあきこさんの祖母から「あきこが大変なことになった。警察に連絡してほしい」と着信があった。 神奈川県警戸部警察署に電話すると、「すぐに来てください」とだけ言われた。 警察署に着くと、「娘さんらしき遺体を発見したので身元を確認してほしい」と言われ、別室に案内された。 娘の顔を見て、血の気がひいた。体にかけられた布は上半身部分は盛り上がっていたが、下半身はぺたんこになっていた。 警察の説明によると、あきこさんは付き合っていた彼氏と一緒にホテルの上から飛び降り、下半身がない状態で発見されたという。 浩三さんは言葉を失い、その場に立ちつくすしかなかった。