経験と自信を携えて今季に臨む富士通の赤木里帆…「やるべきことが明確になっている」
■4年目のシーズンでの心の変化
Wリーグ開幕直前、チームがメディア向けに行った公開練習で「若手や中堅の選手が成長している」(宮澤)、「(パクシンジャカップなどの国際大会で)ベンチメンバーが活躍し、メンタル面も上がっているなと感じている」(林)、「若手の成長を感じる」(町田瑠唯)と、日本代表組が口を揃えたのがバックアップメンバーたちの台頭。実際、アイシンウィングスとのWリーグ開幕戦ではBTテーブスヘッドコーチも試合後に「ベンチメンバーが成長したところを見せることができた」とコメントしている。そのバックアップメンバーの一人が赤木だ。 赤木は中学時代から全国大会で活躍し、桜花学園高校(愛知県)、東京医療保健大学では日本一を経験。大学卒業後に入団した富士通では今シーズンが4年目となる。どこか落ち着いた堂々とプレーをしているように見える今シーズン、昨シーズンとの違いについて聞くと、赤木はこのように答えた。 「3シーズン目(となる昨シーズン)も交代で出るときにはやるべきことのポイントを整理していたし、緊張の中でも楽しんでやろうと思っていたけれど、どちらかというと余裕がなかった。でも今シーズンは、少し心に余裕が出たかなと思います」 さらにこう続ける。「接戦の場面や流れが悪いときなど出番は状況によって変わりますが、気持ち的には毎回変わらずにどんな状況でもチームを救う、助ける、勢い付かせるといういいマインド持って臨めています」 では、いいマインドを保っている要因とは? 「(優勝で終えた)昨シーズンが自信になっていると思いますし、ヘッドコーチから求められていること、このチームで私が何をすべきかが明確になっているからこそ、良い気持ちで試合に臨めているのだと思います」と、教えてくれた。 「富士通のバスケットを理解することやディフェンスでどこがポイントか。そのポイントを考えたうえでウエイトをするなど、体作りをしてきました」と、オフシーズンでの準備も有意義な時間だった。だからこそ、ここまでは充実した時を過ごしているとも言えるのではないか。 「そうですね。でも、充実という点では1年目からずっと充実しています。いろいろな学びや経験があって、それがすべて今につながっていると思います」 取材中、そんな赤木の声のトーンが上がったのは宮下希保について話が及んだとき。「めちゃめちゃうれしいですよ! 同級生ということもあって。同級生、どんどん来いという感じです(笑)」 2シーズン前に江良萌香、そして今シーズンは宮下と同級生が移籍で加わった。江良は中学時代に大分県選抜のチームメートとして「第26回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2013」に出場しており、宮下は日本代表としてU18アジア選手権、U19女子世界選手権を戦った仲。そんな気心知れた仲間について、「一緒にプレーしていても楽しいです」と、赤木は笑顔を見せる。 これまで培ってきた経験を糧にさらなるレベルアップを図る26歳の司令塔。今週末の10月26、27日で行われるENEOSサンフラワーズ戦に向けては「富士通のディフェンスからブレイクを出していけば走り勝てると思うので、まずはディフェンスから。みんなで守っていきたいです」と、意気込んでいた。 文=田島早苗
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