「打たれた時の気持ちの準備をしていた」プロ初完封の西武・武内夏暉、8回先頭でパーフェクト逃しても冷静沈着
◆西武1―0ロッテ(16日、ベルーナドーム) 大記録こそ逃したが、西武のドラフト1位ルーキー、武内夏暉の顔には自信がみなぎっていた。 ■SNS騒然…監督休養の松井稼頭央さんがベルーナドームに【写真】 7回まで一人も走者を出さないパーフェクト投球で、打者21人に対して初球がボールだったのは5人だけ。わずか3安打、116球でプロ初完投、初完封をやってのけた。 「ストレートも変化球もしっかり操れていた」。特にロッテ打線をほんろうしたのがツーシーム。「カウントを整えることもでき、決め球として空振りも取れた」と振り返った。 完全試合の期待が場内を包んだ8回、先頭打者のソトにフルカウントから投じたチェンジアップを左前に運ばれた。しかし、武内は「いつか打たれると思っていた」と動揺はなかった。国学院大2年時の明治神宮大会、九産大戦でも8回2死でパーフェクトを逃している。「その経験が生きました。だから、打たれた時の気持ちの準備をしていました」 2死一、二塁のピンチをしのぐと、9回2死一、三塁の窮地も代打・角中をこの日最速タイとなる148キロの速球で一ゴロに打ち取った。「こんな(初完封の)状況はめったにないから楽しめと自分に言い聞かせていた。一つ引き出しが増えたかな」。1―0の完封勝利に満面の笑みでガッツポーズを繰り返した。 自身の連敗を4で止め、8月3日の楽天戦(ベルーナドーム)以来となる8勝目。渡辺久信監督代行は「開幕からローテーションをしっかり守っている。新人王に向かってきょうの勝ちは大きい」と満足そうに語った。最下位が確定している西武にとって、希望の光になっている。(安田栄治)
西日本新聞社