52歳三浦“カズ”が横浜FC本拠地開幕戦で初ベンチ入りも出番なく「悔しい」
2点のビハインドを背負う展開で横浜FCに残された交代カードはあと1枚。スタンバイしている攻撃的な選手が、5日前に52歳になったばかりのFW三浦知良と、リーグ戦の出場経験がない20歳のMF山本凌太郎という状況でタヴァレス監督が指名したのは後者だった。 本来は攻撃的MFながら前半は3バックの中央で、後半からは4バックの右サイドバックで奮闘していた37歳の松井大輔に代わり、山本が投入されたのが後半34分。開幕2戦目で初めてベンチ入りしていたカズのシーズン初陣も、この瞬間にお預けになることが決まった。 冷たい雨が降るなかで、モンテディオ山形に完敗を喫した3日のホーム開幕戦。上下黒のチームジャージにブランドもののサングラスとマフラーを身にまとい、ニッパツ三ツ沢球技場の取材エリアに姿を現したカズは「残念ですね」と、終わったばかりの90分間を振り返った。 「先週もベンチに入れなかったし、今日はベンチ入りしたけど、ホームの開幕戦で出られないのはやっぱり悔しい。そこ(出場)を目指して、ずっとやってきたので」 敵地で先月24日に迎えたV・ファーレン長崎との開幕戦では、長崎まで帯同しながらベンチ外となった。遠征メンバーは総勢19人。最終的に一人が外れるなかで、対戦相手とのかみ合わせやチーム状況などからタヴァレス監督が最終的に判断した。 長崎戦は0-0で迎えた後半終了間際に、セットプレーから失点を喫して苦杯をなめた。必勝を期した山形戦も、前半26分にセットプレーから失点してしまう。後半の45分間が始まるピッチへ、62歳のブラジル人指揮官は2人を同時に代えるさい配をふるう。
FW戸島章に代わってノルウェー代表歴をもつエースのFWイバを、MF北爪健吾に代わって17歳の高校2年生、斉藤光毅を投入。それでも流れを変えられず、後半18分にまたもやセットプレーから失点すると、最後の1枚を山本に託した。 「カズを入れるという選択肢もあったが、そうなるとイバ、斉藤光毅、カズ(の3トップ)になり、少し中盤の力が足りなくなると考えた」 試合後の公式会見で最後の選手交代の意図を問われたタヴァレス監督は、山形が取る[3-4-2-1]システムとのかみ合わせを考慮しての判断だと説明した。 「相手は中盤に5人ほどいたので、我々も中盤をしっかり固める必要があった」 2017シーズンの終盤から指揮を執る、タヴァレス監督が描くFW陣の序列は、上位に関しては昨シーズンと変わらない。加入から3年間で60ゴールをあげ、2017シーズンには得点王を獲得している身長190cm、体重88kgの巨漢イバが絶対的な柱となる。 山形戦のようにイバの状態が芳しくない場合は、イバを上回る191cmの高さをもつ戸島が控える。そして、イバと戸島のいずれが先発するにしても、柏レイソル時代の2011シーズンにMVPを獲得した攻撃のオールラウンダー、レアンドロ・ドミンゲスが衛星のように周囲を動き回る。 そして4番手をカズと、横浜FCユースの「最高傑作」と期待を込められる斉藤が争う。昨年9月にプロ契約を結んだ斉藤は身長170cmと小柄ながら、相手ゴール前で俊敏性あふれる動きや切れ味鋭いドリブル突破を駆使して、積極果敢に得点へ絡んでいく。 長崎との開幕戦はカズとともにベンチ外だったが、後半から投入された山形戦では、斉藤は自らの武器を前面に押し出してプレー。ジュニアユースから心技体を磨いてきた横浜FCで、35歳も年が離れたレジェンドと同じ時間を共有できる環境に、「学ぶことがたくさんある」と笑顔をはじけさせた。 「いまの自分では、まだまだカズさんにはかなわない。カズさんが言っていること、やっていることはすごく価値があり、学ばなければいけないものだと思っています」