最新の経営理論は結局「古典」...アメリカの大学講師が「ビジネスで迷いが生じたら古典に還れ」と語るワケ
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第3回 『マネジメントの父「ピーター・ドラッカー」の驚きの個性派講義…ロサンゼルス郊外の小さな大学で過ごした「奇跡の時間」』より続く
まず古典を知れ
学ぶことの第一歩は「古典を知る」ことかもしれません。 たとえば、ドラッカーの教えも、もはや経営学、組織論、リーダーシップ、マネジメントとしては「古典」になっています。創造的破壊(creative destruction)あるいは新結合(new combination)のヨセフ・シュンペーター、リスクと不確実性の関係を説いたフランク・ナイト、競争戦略論のマイケル・ポーター、マーケティングのフィリップ・コトラーなどすべて、大学で経営や経済、アントレプレナーシップなど、ビジネスについて学ぶ場合には必ず触れる名前です。いずれも20世紀に活躍した人ですが、いまや古典となっています。 古典とは「古いもの」ではあるのですが、「ただ古いもの」ではありません。何十年もの間、ものによっては100年近くビジネスの現場で実践され、学問の場で議論され、時には否定され、また復活し、それでもいまも残っているもの、それが「古典」です。 いま、最新の経営理論、技術、手法も、元をひもといていけば古典にたどり着くことがほとんどです。IT技術を活用したマーケティング手法にせよ、結局、コトラーの根元にたどり着いたりします。メディア論の大家、マーシャル・マクルーハンのメディアに関する理論は、80年代に「古くなった」と一度、捨てられたことがあります。通信技術の発達で、活版印刷以降のメディアをベースに論じたマクルーハンは古いと考えられたのです。 しかし、インターネットが普及したいま、改めてマクルーハンが評価されています。むしろ、現在のインターネット社会を予見していたのではないかと言われているのです。