死刑執行の『菊池事件』 弁護側申請の “法医学者・供述心理学者” 証人尋問実施へ 熊本
熊本県で起きたいわゆる「菊池事件」の再審請求について、弁護団が求めていた法医学者や供述心理学者の証人尋問が2025年3月に行われることが決まりました。 【写真を見る】死刑執行の『菊池事件』 弁護側申請の “法医学者・供述心理学者” 証人尋問実施へ 熊本 菊池事件は1952年、ハンセン病患者とされた男性が、当時の熊本県水源村(現在の菊池市)の役場職員を殺害したとして、隔離先の特別法廷で死刑判決を受けた事件で、男性は無実を主張しながらも10年後に死刑が執行されました。 しかし裁判は通常の裁判所とは異なり、最高裁判所がハンセン病患者などの隔離先の菊池恵楓園(熊本県合志市)などに設置した特別法廷で開かれ、裁判も事実上非公開でした。 この裁判について、熊本地方裁判所は2020年に「特別法廷は憲法違反」との判断を下して判決が確定。これを受けて遺族が2021年に再審を請求しています。 弁護団は、死刑を執行された男性は犯人ではないうえ、裁判が憲法違反だったため、「すぐに再審を開始すべき」と主張。 今年10月の証人尋問では、刑事法が専門の内田博文(うちだ ひろふみ)九州大学名誉教授も「憲法違反が著しく、すぐに再審を開始すべきだ」と意見を述べていました。 しかし12月5日、熊本地裁は「憲法違反だけを理由に再審を始めることはできない」との見解を弁護団に示し、男性の無罪を裏付ける新たな証拠についても審理したうえで再審開始の判断をするという方針を示していました。 そして12月19日、熊本地裁で行われた弁護団と検察側、裁判所の三者による協議で、弁護団が求めていた法医学者や供述心理学者の証人尋問が2025年3月に行われることが決まったということです。 弁護団 徳田靖之共同代表「二つの証人尋問をやりぬいて、早い時期に再審開始決定を勝ち取りたいと気持ちを新たにした一日になりました」 弁護団は証人尋問で、凶器と服に付いているはずの血痕が残っていないことや、親族の供述に矛盾が多いことなどを主張する方針です。
熊本放送