食の工場の街が「食の交流拠点」にリノベーション! 角打ちや人気店のトライアルショップ、学生運営の期間限定カフェなどチャレンジいっぱい 福岡県古賀市
るるるるの室内。商店街に面する食物販ショップではパンや雑貨が販売されている。食物販ショップをヨンダブルディーが直接運営することで、リアルな接客の中からまちづくりのニーズをヒアリングしている。
ただ、ヨンダブルディーで目指しているエリアリノベーションは、決してこれらの場所のにぎわいを生み出すことだけではない。いくつかの点を根付かせて繋いでいくことで、エリア全体の回遊の楽しさを深めることにある。こうした地道な活動をいくつも重ねていく中で、最初は距離を置いて見守っていた住人の人たちもだんだんと交流をもってくれるようになってきた。地元の方から「先代から継いだ大切な建物を手放したいけれど、どうにかならないか?」などの声をいただくことも増えてきた。そこで、場所と入居したい人とをつなぐリーシング的な役割も出てきた。最近は、書店が出店したり、アメリカンダイナーの出店が決まったり、着実にエリアの活性化が広がろうとしている。 関係者がこれからの課題として口にしているのが、持続性だ。地域の人はもちろん、外の人も訪れて多様な交流が生まれるのが理想。しかし、もともと衰退が進んでいる商店街。魅力的で面白いコンテンツを提供していかないと、なかなか足を運んでもらえない。まちづくりは立ち上げるだけでなく、継続的な運営によって思いをつなぎ、小さくても一歩一歩進んでいくことが重要。その一歩一歩の手がかりになりそうなのが、最初に見せてもらった大きな模造紙のようだ。思いの原点であり、まちの変化を記録しつづける大きな地図。時々振り返りながらも、掲げる目標へ向かってまっすぐ歩み続ける。古賀のエリアリノベーションは、日本の商店街にも大きな活路を見出してくれそうな「お手本のような」プロジェクトであった。 ●取材協力 株式会社ヨンダブルディー 株式会社タムタムデザイン
アポロデザイン