高校時代、同級生エースに「負けた」から今がある…東北福祉大軟式野球部・富樫翼が学生コーチの仕事を通じて得た財産
「恩返し」の野球人生はこれからも続く
富樫は取材中、「感謝」という言葉を何度も口にした。第一はチームメイトに対して。「自分は役割の一つをこなしているだけで、自分だけのおかげで成り立っていることはない。みんながいてこそなので、みんなに感謝です」と言葉に力を込めた。自らを成長させてくれた大人たち、そして高校時代のエースを含む同級生たちにも、同様に感謝の思いを抱いている。 大学卒業後も野球に携わり続けるつもりだ。来年からは仙台六大学野球連盟で、以前から興味を持っていた審判員に挑戦する予定。また就職先の勤務地次第では、母校・東奥義塾でコーチとして指導に当たることも視野に入れている。
その前に、11月20日から大阪府で開催される全日本大学軟式野球選手権大会で学生最後の大会に臨む。「何もできずに終わった一昨年の全国大会の時とは違って、軟式野球を知って、根拠のある自信を持って臨む今年は楽しみが大きい」。これまで野球を通じて出会った人たちのため--「恩返し」の野球人生は、ここからまた動き出す。
(取材・文・写真 川浪康太郎/一部写真提供 富樫翼さん)