パチンコファン激減でも‟市場規模1兆円増”のワケ。「客から絞り取る」を鮮明にした今年のレジャー白書
新規ファン獲得に向けて努力しているが…
もちろん業界はこの状況をなんとかしようと、遊技機におけるスペック面での緩和を筆頭に、ファン向けイベントを積極的に行ったり、東日本大震災以降自粛されていたテレビCMを再開したりと、あの手この手の施策を行っています。 ただそれがファン人口の回復につながっているのかというと、筆者は率直に頑張っているなあ~とは思いますが、少なくとも白書に掲載される数字が表すように「効果はイマイチ」というのが現実です。
ホール軒数も右肩下がりに…
ファン人口が減れば当然ながらホール軒数も右肩下がりで減っていきます。現時点で6千軒をなんとかキープしている状況ですが、不思議なことに市場規模はおよそ15兆円と、前年比で約1兆円増えているのです。これはスマパチやスマスロ、さらには新紙幣対応への設備投資が影響していることが考えられます。 パチンコ業界において、その原資となっているのは「ファンが負けたお金」というのは間違いありません。しかし、その人口が減っているのに市場規模が増えているのは、実におかしなことですが、それはつまり、ファンの投資額が大きくなっていることとイコールです。
「今のファンから絞り取ること」が鮮明に
しかし、ホールにお金を落としてもらわなければ新機種も導入できませんし、新たな設備投資もできません。そのために来店イベントをしてお金を落としてくれるファンを呼び込んでいるんだと思いますが、そこら辺も白書には「年間平均費用」として掲載されておりまして、ひとり当たりの費用は前年比約2万円増ということに。スペック面の緩和で荒い機種ばかりになり、たくさん出るようになった反面、吸い込みもキツくなってしまったということなのです。 結果、少なくなった客からたくさん取るという方向へのシフトが鮮明になったともいえますが、それで先があるのかどうか。ファンを増やすためによかれと思ってやっていることが、逆に自分の首を絞めているのではないか……。そう思わざるを得ない現在の状況ですが、業界がファンを増やすために取り組んでいる施策が正しいのかどうかは、また来年の白書の数字に表れるのではないかなと。さて、来年はどんな数字になっているんでしょうか。 文/キム・ラモーン 【キム・ラモーン】 ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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