SNS型詐欺被害県内10億円超え 1~10月、40、50代が半数
●昨年の5倍 ●投資型とロマンス型 今年1~10月に石川県内で確認されたSNS(交流サイト)を悪用した詐欺被害の総額が10億5900万円に上ることが18日、県警への取材で分かった。昨年1年間の被害額(約1億8800万円)の5倍超となっている。県警のまとめでは高齢者が被害の中心となる特殊詐欺と異なり、SNS型では40~50代が被害者の半数を占める。県警は「幅広い世代がだまされている。SNS上での投資話に絶対に乗らないでほしい」と警戒を強めている。 SNS型詐欺は、著名人や投資専門家の偽広告をきっかけにSNSで投資に誘われる「投資詐欺」と、SNSを通じて接触し、恋愛感情を抱かせた上で金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」に分類される。 県警が今年、10月までに確認したSNS型の詐欺は84件(前年同期比73件増)で、被害総額は10億5900万円(同9億1100万円増)となった。内訳は投資詐欺による被害が53件5億4600万円、ロマンス詐欺が31件5億1300万円。同時期の特殊詐欺は99件(同4件増)、被害総額は2億403万円(同417万増)だった。 SNS型は、1件当たりの平均被害額が1260万円と高額で、全国では1億円を超える事案が相次いでいる。県内でも10月に小松市の60代男性がロマンス詐欺で過去最高となる2億2400万円をだまし取られた。 県警によると、今年1~9月のSNS型詐欺の被害者は50代が最も多く、全体の26%。40代が24%で続き、65歳未満が80%を占めた。同期間の特殊詐欺被害は、65歳未満が45・3%で、SNS型では幅広い世代が被害に遭っている。 SNS型では、犯人グループのほとんどがLINE(ライン)で被害者と連絡を取り、6割はインターネットバンキングや暗号資産で送金を要求する手口だという。 ●トクリュウ対策強化 これらの詐欺事件には、SNSなどでつながる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の関与が疑われる。県警はトクリュウの実態解明や摘発に向け、部門横断のプロジェクトチームを組織し、20日に発足式を行う予定だ。 谷口剛刑事部長を責任者とし、部門横断の体制で情報を収集、分析し、犯罪の未然防止や取り締まりにつなげる。