優勝の巨人か60本塁打のバレか MVPの行方は?
2013年を代表するプレーヤー
ヤクルト、バレンティンにとって激動のシーズンが終了した。 王貞治、ローズ、カブレラの3人が持っていた55本のシーズン最多本塁打記録を初めて超えると、次に3冠王へ照準を定めていたが、守っていた首位打者タイトルも横浜のブランコに抜かれ、最終的な打率は.330で、そのライバルに.003及ばず、逆に追いかけていた打点は、ブランコに5点差をつけられ、結局、1冠に終わった(最終成績は打率.330、131打点、60本塁打)。 それでも、56本を打った後も、日本野球界では神の領域となる60本の大台に乗せ、一大センセーションを巻き起こした。マー君の24連勝無敗の記録と共に、2013年の野球界を代表するプレーヤーであったことは間違いない。
MVPはどうやって選出される?
さて、そこで話題になっているのが、果たしてバレンティンが、セ・リーグのMVP(最優秀選手)を獲得できるのか、できないのかという問題である。最下位チームで、しかも、3冠ではなく、1冠。すでにたくさんの媒体で語られているが、過去に最下位チームからMVPに選出された選手はいない。 プロ野球のMVPは、プロ野球記者クラブに所属、取材歴が5年以上の実績がある記者投票によって決定される。1位、2位、3位の順序で3選手を記名、それぞれに5点、3点、1点の得点がつけられ、合計得点の最も多かった選手が受賞することになっている。投票資格は、取材歴5年以上の記者ならば誰にでもあるわけではなく、非常に厳格で、しばらく現場に来ていないとか、評論家担当(番記者ではなく、いわゆる遊軍記者)となって、あまり試合を見ていないという場合も、MVP投票権は剥奪されたりしている。投票に関する整理作業は、持ち回り制度になっている記者クラブの幹事が行っている。 いつも議論となるのが、最優秀選手の定義だ。1937年に制定されてから投票方法は変わってきたが、昔から、「チームの成績に関係なく最も価値ある選手なのか」、「チームの優勝に最も貢献した選手なのか」という議論が成されてきた。それらの議論に線を引くため、「原則として優勝チームから選出すること」という条項が、わざわざ設定された時代もあったが、現在では、その条項は削除されている。