最低でも「1億円」から…M&A参入に立ち塞がる“個人の壁”の衝撃的な「ウラ事情」
老後2000万円問題が叫ばれて久しい。しかし、生活水準を落としたくないのであれば「2000万円でも足りない」。政府の経済的支援を当てにすることもできない。現代日本ではサラリーマンであっても資産を形成することが求められている。そんな人は会社を買おう。もしあなたが一般的なサラリーマンならば、既に会社を経営するノウハウを自然と身に着けているのだ。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、平凡なサラリーマンが会社を購入し成功した例を紹介しながら、具体的に「どうやって資本家として成功するのか」を『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著)から一部抜粋して紹介する。 『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』連載第2回 『「経験豊富」でも路頭に迷うこの時代…ただの50代エンジニアが「新事業」を始めることができたワケ』より続く
M&Aの致命的な問題
私が中小企業向けの事業承継・事業再生投資ファンド「日本創生投資」を投資予算30億円で創設したのが2016年。その経験をもとに『サラ3』を刊行し、「サラ3サロン」を始めたのが2018年です。 その間、日本経済の屋台骨を支える中小企業の後継者不足の深刻さは語られつつも、なかなか社会問題として認識されず、解消に向かう様相が見えないことに私は危機感を覚えていました。 それゆえ私は、『サラ3』で「個人が会社を買わないと日本経済は沈む」と警鐘を鳴らし、個人が会社を買えるようになる環境を整えるため、自らサロンを始めたのです。 サロンには私の本を読んだたくさんのメンバーが集まってくれました。すぐに会社を買うための活動を始めた彼らでしたが、最大の悩みは、「会社を買いたいと言っても、個人だと相手にされない」「事業引継ぎ支援センターに行ったら、個人だからと門前払いされた」といった「個人の壁」でした。 従来、M&Aは事業会社やファンドだけが行うもので、個人がプレーヤーとして参入することはありませんでした。さらに、従来のM&Aで扱われるのは中堅以上の会社で、中小零細企業が売り手として扱われることもありませんでした。 M&Aを手掛ける仲介企業やファイナンシャルアドバイザー(FA)は、M&Aを成立させて初めて仲介料が発生する手数料商売であり、その頃の最低報酬は2000万円ほどでした。それだけの仲介手数料が発生する案件となると、最低でも売り上げ規模で1億円くらいの会社が対象になってしまいます。それゆえ中小零細企業を扱うことは想定されていなかったわけです。